日本地球惑星科学連合2016年大会

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[O-04] ジオパークへ行こう

2016年5月22日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*渡辺 真人(産業技術総合研究所地質情報研究部門)

17:15 〜 18:30

[O04-P29] 桜島・錦江湾ジオパークの地域資源「火山灰」を活用した『学習指導案』の作成

*吉川 美由紀1 (1.鹿児島市経済局観光交流部ジオパーク推進室)

キーワード:桜島、桜島・錦江湾ジオパーク、ジオパーク、学校、学び、教育

【はじめに】
2013年に日本ジオパークに認定された桜島・錦江湾ジオパークは、九州の南部、鹿児島県のほぼ中央に位置する。鹿児島の人々にとってシンボル的な存在である活火山・桜島は、1955年以降、60年以上にわたりブルカノ式噴火を繰り返しているため、本ジオパークは降灰という現象が日常的に起きている珍しい場所であり、地域住民にとっては、火山灰が大変身近な存在となっている。
【ジオパーク資源を学校教育に活かす】
文部科学省の『(地球科学分野の)学習指導要領』には「地域の資源を活かし、郷土愛を育む」といった文言がある。しかしながら教員には、そうした教材研究をする時間が少なく、結果として教科書や指導書に沿った理科授業を展開する例が少なくない。そこで、本ジオパークでは代表的な地域資源である「火山灰」を教材に、小学校6年生理科「大地のつくりと変化」の単元内で活用できる『学習指導案』を地元の教員と協力しながら作成した。
【目的】
その内容は、火山灰を使った「わんかけ実験」である。児童たちが、くらしに密着する火山灰をサンプルにした実験を行い、学ぶことで、大地の成り立ちや活火山・桜島を学ぶだけでなく、地域の見直しや、防災を考えるきっかけにつなげることを目的としている。
【学校で活用していただくための工夫】
今回作成した『学習指導案』は、①予測される児童たちの反応・疑問、それに対する教員の回答例、②ワークシート、③実験レシピおよび鉱物リストカード、などをパッケージすることによって、広く学校の教員に活用していただけるよう工夫してある。また、防災を含めて、この学習をより深く学ぶための発展教材として、マグマの特性に応じて生じる鉱物例や爆発パターン、特徴的な火山地形などをまとめた資料も作成した。
【実績】
2014年度に地元の教員とともに半年をかけて作成した『学習指導案』をもとに、本ジオパークの学術推進員が、これまで2014年度1校1クラス、2015年度3校5クラスで授業を実施してきた。このほかに、地元の教員が『学習指導案』を使用して授業を実践している。授業後の児童へのアンケートでは、「迷惑な火山灰が、宝石(鉱物)を含む火山灰」、「普段眺めているだけの桜島が、魅力のある桜島にみえた」との回答があり、地域資源の新しい見方や地域の再発見につなげることができたと考える。
【今後の展望】
今回作成した『学習指導案』をエリア内の小中学校へ広く活用してもらえるように、今後も教員や研究者とともに協力して教材の開発や進化を行っていきたいと考える。また、学校教育の場だけでなく、地域の博物館や科学館、水族館とも連携しながら「ジオキッズ講座」を行っている。より多くの関係者と協力しながら、地域資源を活用した教育への取り組みを行っていきたいと考える。