日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-CG 宇宙惑星科学複合領域・一般

[P-CG21] 惑星大気圏・電磁圏

2016年5月26日(木) 15:30 〜 16:45 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*今村 剛(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部)、高橋 幸弘(北海道大学・大学院理学院・宇宙理学専攻)、高橋 芳幸(神戸大学大学院理学研究科)、深沢 圭一郎(京都大学学術情報メディアセンター)、中川 広務(東北大学 大学院理学研究科 地球物理学専攻太陽惑星空間物理学講座 惑星大気物理学分野)

15:30 〜 16:45

[PCG21-P07] 超伝導NbTiN細線を集積した1.9THz帯ホーン/導波管型超伝導HEBミクサ検出素子の開発

*前澤 裕之1齊藤 滉介1西田 侑治1相馬 達也2大口 脩2山本 智2 (1.大阪府立大学大学院理学系研究科物理科学科、2.東京大学大学院理学系研究科)

キーワード:テラヘルツ、ヘテロダインリモートセンシング、超伝導検出素子

星間ガスや惑星大気の分子・原子・イオンの多くが、ミリ-サブミリ波帯において回転・振動・微細構造などによるスペクトル線を放射している。電波天文学では、この波長域においてヘテロダインリモートセンシングの手法を用いるため、高い周波数分解能(Δf/f > 106)が得られ、星間ガスや星形成領域、惑星大気のダイナミクスや密度、温度、組成などの基本的な物理・化学的状態を探る強力なツールとなっている。ただし観測波長が1 THzを超えると、従来の伝導SIS検出素子はクーパー対が破壊されて機能しなくなるため、我々はNbTiN超伝導細線をin situの手法により集積する次世代の超伝導ホットエレクトロンボロメータミクサ(HEBM)素子の開発を推進している。
現在、我々は、地球・惑星大気中のOHラジカル、星間ガス中の炭素イオンや酸素原子、その他の高励起スペクトル線が分布する1.8-2THz帯をカバーすべく、HEBMの集光方式を、従来のレンズをもちいた準光学方式から、ビームパターンの優れた導波路/ホーン集光方式へと改良を行っている。ホーン・導波路の設計は3次元高周波電磁界シミュレーターHFSSを用いて行い、ビームの軸対称性やサイドローブの特性を改善している。導波路の最適サイズは幅50μm×40μmと非常に微細であるが、近年のマイクロマシンニング技術の向上により、実際に加工・製作を実現することができた。また、このHEBMの集光方式にあわせ、GRASPソフトウエアにより新たに冷却光学伝送系を設計・製作した。HEBM素子を冷却する4 K機械式冷凍機のヘッドの温度振幅はpeak to peakで0.2 Kと大きい。これはNbTiN細線の相転移の温度幅と同程度のため、このまま振幅がHEBMに伝わると出力の不安性を誘起する。そこで、新光学系を搭載・経由させることで、HEBMへの温度変動を1 mKと十分なレベルまで減衰できるように工夫している。本講演では、これら1.9THz帯HEBM受信機の開発の進捗について講演を行う。