14:30 〜 14:45
[PEM16-10] Sq電流系中心の電子加熱現象解明のための観測ロケット実験速報
-電子エネルギー分布観測-
キーワード:Sq電流系、観測ロケット、電子加熱
電離圏下部のSq電流系中心には電子加熱、電子密度擾乱を初めとするプラズマの特異現象が発生している。このような現象の特徴を明らかにし、その発生メカニズムを解明することを主目的として、観測ロケット実験が2016年1月15 日に鹿児島県内之浦宇宙空間観測所周辺で行なわれた。この観測ロケット(S-310-44号機) には電子エネルギー分布・電子密度擾乱測定器(FLP)、電場計測器(EFD)、プラズマ波動測定器(PWM)、磁場計測器(MGF)等計5個の観測機器が搭載された。本発表では、ロケットの搭載観測機器のひとつであるFLPの観測結果を中心に発表を行なう。
FLPでは、直径3mmの円筒プローブに印加する周期10Hz・振幅3Vの三角波電圧に周期2kHzの微小振幅の正弦波を重畳し、その2倍の高調波成分を取り出すことで、所謂プローブのV-I特性の2次微分成分の推定が可能である。プローブから見た空間電位が決定されれば、2次微分成分から容易にエネルギー分布関数を導き出すことが出来る。FLPのもうひとつの機能は電子密度擾乱の測定にあり、この目的のために直径30mmの球プローブをロケットの機軸中心に設置した。プローブには+4Vの電圧を印加し、その場の電子密度に比例する電子電流を6.4kHzの周波数でサンプリングを行い、1m以下の空間スケールまでの電子密度擾乱をモニターした。
本ロケットの実験期間中、九州大学のグループが地上に設置した磁力計のデータからSq電流系の位置を推定し、打ち上げ条件の判断に用いられた。1月15日正午に行ったロケットの打上げ時には軌道とSq電流系中心の距離は約200~300 kmであった。
FLPはロケットの上昇時・下降時に成功裏に観測を実施しデータの取得を行なった。電子エネルギー分布から電子温度を推定したところ、ロケット上昇時の高度100~110 kmにおいて背景温度に対して約200 Kの上昇を示していたことがわかった。電子エネルギー分布に関しても、完全なマクスウェル分布ではなく非熱的な成分の存在を示すデータが得られている。電子密度擾乱に関しては、電離圏E領域で数百Hzの周波数の擾乱が激しく、特に高度95~110 kmでは広い周波数帯において強度が顕著に増大していたことが観測データから確認された。発表ではこれらの特徴に関する解析結果を紹介し、議論を行う。
FLPでは、直径3mmの円筒プローブに印加する周期10Hz・振幅3Vの三角波電圧に周期2kHzの微小振幅の正弦波を重畳し、その2倍の高調波成分を取り出すことで、所謂プローブのV-I特性の2次微分成分の推定が可能である。プローブから見た空間電位が決定されれば、2次微分成分から容易にエネルギー分布関数を導き出すことが出来る。FLPのもうひとつの機能は電子密度擾乱の測定にあり、この目的のために直径30mmの球プローブをロケットの機軸中心に設置した。プローブには+4Vの電圧を印加し、その場の電子密度に比例する電子電流を6.4kHzの周波数でサンプリングを行い、1m以下の空間スケールまでの電子密度擾乱をモニターした。
本ロケットの実験期間中、九州大学のグループが地上に設置した磁力計のデータからSq電流系の位置を推定し、打ち上げ条件の判断に用いられた。1月15日正午に行ったロケットの打上げ時には軌道とSq電流系中心の距離は約200~300 kmであった。
FLPはロケットの上昇時・下降時に成功裏に観測を実施しデータの取得を行なった。電子エネルギー分布から電子温度を推定したところ、ロケット上昇時の高度100~110 kmにおいて背景温度に対して約200 Kの上昇を示していたことがわかった。電子エネルギー分布に関しても、完全なマクスウェル分布ではなく非熱的な成分の存在を示すデータが得られている。電子密度擾乱に関しては、電離圏E領域で数百Hzの周波数の擾乱が激しく、特に高度95~110 kmでは広い周波数帯において強度が顕著に増大していたことが観測データから確認された。発表ではこれらの特徴に関する解析結果を紹介し、議論を行う。