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[PEM16-14] 波長可変共鳴散乱ライダーによる国内観測試験~第58次南極地域観測隊での昭和基地導入に向けて~
キーワード:共鳴散乱ライダー、中間圏・下部熱圏領域、温度観測、金属原子、金属イオン
国立極地研究所は、2010年より6年間のプロジェクトとして第Ⅷ期重点研究観測「南極域から探る地球温暖化」を推進している。中層・超高層大気観測研究 は、その中のサブテーマIに位置付けられており、地表から超高層大気にいたる大気の変動をとらえる計画で、これまでに継続観測してきた各種レーダー・光学 観測機器に加えて、第Ⅷ期で新たに大型のレーダーやライダーなどの測器の開発・導入・観測を進めている。ライダープロジェクトとして、2011年から昭和基地で上部対流圏から中間圏まで(<̃70-80km)の温度プロファイル観測を開始しているレイリー/ラマンライダーに加えて、観測高度 をさらに上空、超高層大気にまで広げ、より高高度での大気重力波の活動や、オーロラ活動に伴うイオン化学反応を介した大気微量成分の組成変動など、超高層 大気中の様々な力学・化学過程を通した大気の変動をとらえるべく、国内で波長可変共鳴散乱ライダーの開発を進めている。送信系には波長可変のアレキサンドライト・レーザーと第2高調波発生器を用いており、インジェクションシーダーの波長を波長計で制御することで、基本波として768-788 nm、第2高調波として384-394 nmのうち任意の波長のレーザーパルスを得ることが出来る。これにより南極昭和基地において、カリウム原子(770 nm)、鉄原子(386 nm)、カルシウムイオン(393 nm)、窒素イオン(390-391 nm)の原子とイオンを狙って、高度80 km以上の大気温度、原子やイオンの高度分布などを測定する計画である。2013年以降は、国内での金属原子・イオン層観測試験も行いながら、第58次南極地域観測隊(2016年11月出発予定)での昭和基地への導入を目指して、ライダーシステムの開発・改良を行っている。本講演では、開発・改良の現状と、金属原子・イオン密度、および中間圏温度の試験観測の結果を議論する。