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[PEM16-P12] 低高度衛星によって観測された下層大気起源の電離圏上空微小磁場変動 ~ 下層大気現象の同定 ~
キーワード:電離層ダイナモ、沿磁力線電流、重力音波共鳴、SWARM衛星、CHAMP衛星、磁気リップル
近年、CHAMP(2000~2009年)やSWARM(2013年~)衛星のような低高度精密磁場観測衛星のデータ解析により、中低緯度電離圏上空において、衛星からのみかけ周期が30秒程度、振幅が0.1~5nTの微小な磁場変動(以下、磁気リップル(magnetic ripples)という)が常時存在することが明らかになった。この磁気リップルには地形・季節依存性が見られるため、下層大気を起源とする大気重力波に起因するE層ダイナモによって局地的な沿磁力線電流が流れていると考えられ、低緯度ほど周期が長くなり、振幅が小さくなることも沿磁力線電流による磁場効果であることを示唆している。CHAMPとSWARMに搭載されている磁力計の精度は0.065 nTであり、磁気リップルには、磁気赤道に対して南北共役性が見られること、編隊飛行をする二つのSWARM衛星において類似した磁場変動が観測されること、などの特徴もある。このことから、磁気リップルが観測ノイズではないことは明白である。また、台風や火山噴火時に大気重力波が生じることが知られており、本発表では、これらのイベントと磁気リップルとの関連性について述べ、磁気リップルを生じさせる大気波動の特性と、その発生源となる下層大気現象について考察する。