日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM17] 宇宙プラズマ理論・シミュレーション

2016年5月24日(火) 13:45 〜 15:15 302 (3F)

コンビーナ:*梅田 隆行(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)、天野 孝伸(東京大学 地球惑星科学専攻)、成行 泰裕(富山大学人間発達科学部)、中村 匡(福井県立大学)、杉山 徹(国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球情報基盤センター)、座長:梅田 隆行(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)、中村 匡(福井県立大学)

15:00 〜 15:15

[PEM17-06] デカメータ波電波によるわが銀河系中心部ブラックホール・バイナリー検出の再検証

*大家 寛1 (1.東北大学理学研究科地球物理学専攻)

キーワード:ブラックホールバイナリ―、銀河中心、デカメータ波電波

デカメータ電波パルスの観測に基づき銀河系中心部における超巨大ブラックホールは天文学界の定説となっているような単数ではなく、多数のブラックホール群よりなり、少なくとも5組以上のブラックホール・バイナリーのシステムを形成してることを提唱してきた。それらは、公転周期がGaa-Gab系、Gac-Gae系、Gad-Gag系、Gaf-Gah 系およびGai-Gaj系においてそれぞれ、2300sec,1200sec,810sec,528sec 及び450sec で、それぞれのバイナリ― を構成する各BHの自転周期はGaa, 171.6 sec; Gab 119.6 sec; Gac,100.8 sec; Gad,72.4 sec; Gae, 62.8 sec; Gaf, 54.0 sec; Gag, 46.0 sec; Gah, 44.0;Gai, 26.0 sec ; およびGaj, 23.6 sec と得られてきた。これらのパラメータの導出は受信されるデカメータ信号に対してFFT解析を施し、結果となる、諸特徴周期を手掛かりとして、周期相関集積法(ボックス・カー法)を適用して、パルス波形の検出と合わせてより詳細な周期を決定する手法によっている。現時点で自転周期1secはBH質量として5000太陽質量に相当する。 ここで、本研究はこれまで得られた結果の確かさを、厳密に検証する時期にはいっていて、今回は基本ステップであるFFT解析結果の検証を以下3点についておこなった。即ち、1)BHバイナリーの根拠としている公転周波数(公転周期の逆数)をその基準にしている側帯波スペクトルの有意性をランダム雑音の場合との対比から明確にすること、2) 銀河系中心部の出現とブラックホールバイナリー、群の存在の根拠とするFFTコード出現の対比を明確にすること、3)現在までに得られた5組のブラックホールバイナリーの諸周期情報から逆に信号源を組み立てたシミュレーションにより観測結果との一致性を評価すること、である。 検証の結果、第1)検証項目については特徴ある側帯波スペクトルは多数のBHバイナリー系からの相互干渉によって一部1/3の率で本来のピークを外れるが、ランダム雑音では一致と外れの場合が1/2 づつで、観測結果は有意に公転運動にもとづく周波数変調を示すと結論された。第2)検証項目は、銀河中心を直視出来ない観測時点にもブラックホールバイナリー、群の存在の根拠とするFFTコードが出現することが判明した。しかしこれは問題のFFTコードが銀河中心部に存在する5組のブラックホールバイナリーに起源を持つことを否定するものでなく、逆にデカメータ波電波が電離層により蜃気楼をつくることの証明となった。第3の検証項目はシミュレーションによって得られたFFT結果は観測によって得られているBHバイナリー群のFFTコードと主要点において一致していて、本研究において進めてきた、我が銀河系中心部の超巨大ブラックホールが5組以上のブラックホール・バイナリーのシステムを形成しているとの提唱の根拠が確認された。