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[PEM18-P11] 逆転型対流に関連した漂うカスプオーロラスポット
キーワード:オーロラ、カスプ、ポーラーキャップ、プラズマ対流、リコネクション
電離圏のカスプにおいて高緯度方向に移動するオーロラ現象、いわゆるpoleward-moving auroral form は、惑星間空間磁場が南向き成分をもつ時に昼間側マグネトポーズで生じるフラックストランスファーイベントがその源であると考えられている。また、惑星間空間磁場が北向きになると、カスプのオーロラスポットは低緯度方向に動くという報告があり、これは、惑星間空間磁場が北向き時に固有の逆転型プラズマ対流の場所でオーロラが生じていることを表している。このように、カスプオーロラの動きはプラズマ対流の向きを概ね反映したものになる。本研究では、カスプで高緯度側へと移動した後、向きを変えて低緯度側へ移動するオーロラに注目し、その特性を明らかにした結果を報告する。ノルウェーのスバールバル諸島のロングイヤービィーエンの高感度全天イメージャーによって取得された630nmの波長のオーロラデータとDMSP衛星の降下電子データとプラズマ対流データを解析した。DMSP衛星のこれらのデータから、衛星がどこでカスプやLLBL/BPSを横切ったのかがわかるため、全天イメージャーの視野内を通過した衛星のデータをもとに、衛星の軌道の真下で光っているオーロラがカスプオーロラかLLBL/BPSオーロラかを判断することができる。我々はまず、2013年1月13日にprenoon 領域で見られたカスプオーロラスポットの同時観測事例に焦点をあてて、その結果を報告する。DMSP衛星がオーロラスポットの上空を横切ったタイミングでは、そのオーロラは、LLBL起源の prenoon オーロラの約1度高緯度側に位置していた。4秒値のオーロラデータを用いて、この前後数十分間のオーロラの特徴を調べた。このカスプオーロラは、LBLLオーロラからはがれるように生まれ、最初は高緯度方向に動くものの、その後、回転して太陽方向に動いていた。また、DMSP衛星は、高緯度方向に動くオーロラ領域が、低緯度向きの成分をもつ逆転型対流の中に存在していることを捉えている。従って、高緯度向きのオーロラの動きは対流の向きを反映していないことがわかる。冬季の3シーズンの観測期間から取り上げたその他の事例をふまえた解析結果も報告し、このような現象が磁気圏ローブでのリコネクションのどのようなプロセスを反映しているのかを議論する。