14:45 〜 15:00
[PPS13-17] Approachミッションでの科学観測による成果
キーワード:ペネトレータ、月内部構造探査、月震観測、熱流量観測、小型探査衛星
ペネトレータは日本の月探査計画「LUNAR-A」ミッションを通して開発され、内部に搭載した観測機器を人工衛星からの自由落下により、天体表面に貫入設置させるハードランディングプローブである。ペネトレータ内部に搭載する地震計は、月面貫入時以上の衝撃を受けても、月震観測に必要な性能を維持できる事を確認しており(Yamada et al., 2009)、またペネトレータ-母船間の通信機能も正常に動作する事を確認できている(田中等、2010)。ペネトレータは、天体表面でネットワーク観測を実現するのに優れたツールであり、将来の月惑星の地球物理観測への適用が期待されている。
このペネトレータの月面での技術実証、及び科学観測を行うために、現在、イプシロンロケットに搭載する小型科学衛星へ小型ペネトレータ2本を搭載する事を提案している(Approachミッション)。小型ペネトレータではLUNAR-Aで確立した耐衝撃性技術、観測装置を継承しつつ、2/3サイズにペネトレータを縮小する事を目指しており、2本搭載によって観測成立の冗長性の確保と科学成果の拡充が期待できる。
Approachミッションでは、2本のペネトレータで、地震、熱流量観測を行う事を計画している。このミッションでは、地震観測点数が少ないため、隕石の衝突発光を地上で観測することで、隕石衝突イベントの位置決定を行い、その走時データから地殻厚さを決定する事を目的としている。これにより、地殻厚さを従来よりも高精度に決定することで、月重力データと組み合わせて地殻の体積とAlの総量を推定することを行う。また、2点観測から、深部を通ってきた地震波を識別し、月深部構造を調べる事も期待できる。熱流量観測においては、月表層に放射性元素が濃集している地域(Procellarum KREEP Terrane)と、濃集量が少ない高地地殻での観測を行う事で、バルクとしての放射性元素量を決定することを目指している。本発表では、これらの科学観測から得られる成果を定量的に評価した結果を示すとともに、その結果から月の起源や進化についてどうアプローチしていけるかを議論したい。
このペネトレータの月面での技術実証、及び科学観測を行うために、現在、イプシロンロケットに搭載する小型科学衛星へ小型ペネトレータ2本を搭載する事を提案している(Approachミッション)。小型ペネトレータではLUNAR-Aで確立した耐衝撃性技術、観測装置を継承しつつ、2/3サイズにペネトレータを縮小する事を目指しており、2本搭載によって観測成立の冗長性の確保と科学成果の拡充が期待できる。
Approachミッションでは、2本のペネトレータで、地震、熱流量観測を行う事を計画している。このミッションでは、地震観測点数が少ないため、隕石の衝突発光を地上で観測することで、隕石衝突イベントの位置決定を行い、その走時データから地殻厚さを決定する事を目的としている。これにより、地殻厚さを従来よりも高精度に決定することで、月重力データと組み合わせて地殻の体積とAlの総量を推定することを行う。また、2点観測から、深部を通ってきた地震波を識別し、月深部構造を調べる事も期待できる。熱流量観測においては、月表層に放射性元素が濃集している地域(Procellarum KREEP Terrane)と、濃集量が少ない高地地殻での観測を行う事で、バルクとしての放射性元素量を決定することを目指している。本発表では、これらの科学観測から得られる成果を定量的に評価した結果を示すとともに、その結果から月の起源や進化についてどうアプローチしていけるかを議論したい。