日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD23] 測地学一般・GGOS

2016年5月23日(月) 09:00 〜 10:30 A05 (アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張)

コンビーナ:*松尾 功二(国土地理院)、風間 卓仁(京都大学理学研究科)、川畑 亮二(国土交通省国土地理院)、座長:瀧口 博士(情報通信研究機構電磁波計測研究所)

10:15 〜 10:30

[SGD23-06] 点震源によって生じる丸い地球の内部変形グリーン関数:成層構造を持つ地球モデルの高い次数での漸近解

*高木 悠1大久保 修平2 (1.東京大学大学院理学系研究科、2.東京大学地震研究所)

キーワード:グリーン関数、点震源、内部変形、成層構造、漸近解

点荷重や点震源によって生じる地球の変形(変位や歪など)を表すグリーン関数は、測地学的、地震学的に重要な役割を果たしてきた。例えば、Farrell (1971) によって求められた点荷重による「地表」のグリーン関数は、海洋潮汐によって生じる重力や歪変化を補正するのに使われている。また、Sun & Okubo (1993)によって求められた点震源による「地表」のグリーン関数は、巨大地震によって「地表」に生じる変位や重力変化を解釈するのに役立っている。さらに、点震源による「内部」のグリーン関数が求められれば、クーロンの静的応力や歪の蓄積などの推定に用いることが出来る。これらのグリーン関数を求めるためには、球面調和関数の次数nが「数千から数万」もの高い次数の解まで計算する必要がある。そのため、次数n→∞の解の振舞いを表す「漸近解」を求めることが有効になる。点荷重による「地表」の漸近解はFarrell (1972) によって、点震源による「地表」の漸近解はOkubo (1988) によって求められたが、点震源による「内部」の漸近解は一様球の場合にしか得られておらず(大久保 & 高木, 2014 JpGU)、成層構造を持つ場合の解を求める必要がある。
自己重力を伴う球対称地球の場合、変形場はスフェロイダルモードとトロイダルモードに分離して、それぞれのモードは6変数と2変数の連立常微分方程式で表される。成層構造における漸近解は、「成層構造の解」=「(i)一様球の解」+「(ii)弾性定数等の物性が半径方向に変化することの効果」と考えて求めた。(i)の項は既に得られているので(大久保 & 高木, 2014 JpGU)、それを基に(ii)の効果を取り入れる。(ii)の効果は、全地球にわたる積分として表されるが、次数nが非常に大きい場合には、震源と変形を求めようとする深さの周囲のみ考えれば十分である。
上記の考えに基づいて、より簡単なトロイダルモードについて漸近解を求め、数値計算でn=100,000まで計算した結果と比較したところ、次数nが大きくなるにつれて数値解が漸近解に近づいていくという期待通りの結果が得られた。
本講演では、トロイダルモードに加えて、スフェロイダルモードについても漸近解を示すとともに、漸近解の有効性について議論する予定である。