17:15 〜 18:30
[SIT08-P08] Doping effect on high-temperature creep of olivine aggregates
キーワード:olivine aggregates, rheology, doping effect
マントル対流やアセノスフェアの成因を理解する上で、上部マントルの流動特性を決定することは非常に重要である。これまで、天然で産出したオリビンから作製されたオリビン多結晶体を用いた高温変形実験により、オリビン多結晶体の流動特性に対する温度、粒径、応力依存性や水やメルトによる効果が調べられ、上部マントルの理解が進んできた (Karato et al. 1986, Hirth and Kohlstedt 1995, Mei and Kohlstedt 2000)。しかしながら、Faul and Jackson (2007) によって、試薬からゾル・ゲル法で人工的に合成したオリビン多結晶体の粘性率は、拡散クリープ領域でこれまでの天然由来のオリビンよりも約 2桁固大きいことが報告された。後にHansen et al. (2011) によって、Hith and Kohlstedt (1995) の試料の粒径が過大評価されていたことが示されたが、それを考慮しても人工合成オリビンは天然由来オリビンよりも粘性率にして1桁程度大きいことがわかっている。この違いの要因は未だに解明されておらず、オリビン多結晶体の流動特性は確立されていないのが現状である。
先行研究の固さの違いはおそらく試料のわずかな化学組成の違いによるものと考えられる。天然由来試料には微量な不純物が存在するが、人工合成試料には不純物は存在しない。材料科学の分野では、粒界に偏析する微量 (<0.1 wt%) の不純物が酸化物多結晶体の流動特性を大きく変化させることが知られており (Yoshida et al. 1997)、また天然のオリビンの粒界にもCaO, Al2O3及びTiO2の偏析が確認されている (Hiraga et al. 2003)。そこで、本研究では微量な添加物を含む試料と含まない試料を合成し、それらについて変形実験することで添加物が流動特性に与える影響を調べた。
試料作製には、高純度かつ細粒 (<100 nm) の試薬を用いて細粒な鉱物粉末を合成し、それを真空で焼結するという手法を用いた(Koizumi et al 2010)。添加物を含まない試料と、微量 (<1%) のAl2O3、CaO、TiO2をそれぞれ含む試料を作製し、それらについて変形実験を行った。その結果、不純物を含まない試料は拡散クリープ領域で粒径指数3、活性化エネルギー462 kJ/mol が得られ、粒界拡散クリープで変形したことが示唆された。また不純物による大きな固さの変化は見られなかった。先行研究と比較すると、本研究の試料の固さはFaul and Jackson (2007) の人工合成オリビンと一致した。
先行研究の固さの違いはおそらく試料のわずかな化学組成の違いによるものと考えられる。天然由来試料には微量な不純物が存在するが、人工合成試料には不純物は存在しない。材料科学の分野では、粒界に偏析する微量 (<0.1 wt%) の不純物が酸化物多結晶体の流動特性を大きく変化させることが知られており (Yoshida et al. 1997)、また天然のオリビンの粒界にもCaO, Al2O3及びTiO2の偏析が確認されている (Hiraga et al. 2003)。そこで、本研究では微量な添加物を含む試料と含まない試料を合成し、それらについて変形実験することで添加物が流動特性に与える影響を調べた。
試料作製には、高純度かつ細粒 (<100 nm) の試薬を用いて細粒な鉱物粉末を合成し、それを真空で焼結するという手法を用いた(Koizumi et al 2010)。添加物を含まない試料と、微量 (<1%) のAl2O3、CaO、TiO2をそれぞれ含む試料を作製し、それらについて変形実験を行った。その結果、不純物を含まない試料は拡散クリープ領域で粒径指数3、活性化エネルギー462 kJ/mol が得られ、粒界拡散クリープで変形したことが示唆された。また不純物による大きな固さの変化は見られなかった。先行研究と比較すると、本研究の試料の固さはFaul and Jackson (2007) の人工合成オリビンと一致した。