日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-MP 岩石学・鉱物学

[S-MP43] 変形岩・変成岩とテクトニクス

2016年5月25日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*河上 哲生(京都大学大学院理学研究科)、針金 由美子(産業技術総合研究所)

17:15 〜 18:30

[SMP43-P14] 島根県西部江津地域に分布する周防変成帯青色片岩の変成作用

*高須 晃1Li Weimin2Fazle Kabir1 (1.島根大学総合理工学部地球資源環境学教室、2.吉林大学)

キーワード:青色片岩、Heilongjiang Complex, NE China、周防変成帯

西南日本内帯に分布する周防変成帯には160-230 Maの変成年代を示す高圧型変成岩(パンペリー石-アクチノ閃石相-藍閃石片岩相-緑れん石角閃岩相)が分布する(Nishimura, 1998).江津地域の青色片岩の構成鉱物は緑れん石,角閃岩(Na, Na-Ca, Ca角閃岩),曹長石,緑泥石,フェンジャイト(Si: 6.62-7.02),石英,方解石,チタン石,赤鉄鉱,りん灰石,黒雲母からなる.角閃岩は組成累帯構造を示す(ウインチ閃石-藍閃石-ウインチ閃石,藍閃石-マグネシオリーベック閃石-ウインチ閃石/アクチノ閃石).粗粒の藍閃石は緑れん石,石英、方解石を包有し,緑れん石斑状変晶は,緑泥石、藍閃石,曹長石,石英,赤鉄鉱を包有する.
青色片岩の組織と鉱物化学組成より,変成作用は昇温ステージ,ピーク,降温ステージのの3つのステージに区分できる.昇温ステージは緑れん石斑状変晶中の包有鉱物と藍閃石のコアにみられるウインチ閃石によって定義され,緑色片岩相から青色片岩相の変成条件を示す.ピーク変成作用は斑状変晶緑れん石,藍閃石,フェンジャイト,緑泥石,チタン石,赤鉄鉱により示され,緑れん石青色片岩相に相当する.変成条件は430-530 ℃,12-15.5 kbarが見積もられる.藍閃石のリムはウインチ閃石/アクチノ閃石に累帯構造し,藍閃石を置換する緑泥石とともに緑色片岩相の降温ステージの条件を示す.
中国北東部Heilongjiang Complexには低温高圧型の変成岩が分布し,その中のの青色片岩は320-550 ℃,6-15 kbarの変成条件を示す(Li et al., 2010).低温高圧型変成岩の40Ar/39Ar年代として145-184 Maが報告されている(Li et al., 2011).江津の青色片岩とHeilongjiang Complexの青色片岩の変成条件と変成年代のうえで共通点が多く,これらはジュラ紀の同一のサブダクション帯で形成された高圧型変成岩と考えられる.
文献
Li, W., Takasu, A., Liu, Y. and Guo, X. (2010) Newly discovered garnet-barroisite schistsfrom the Heilongjiang Complex in the Jiamusi Massif, northeastern China. JMPS, 105, 86-91.
Li, W., Takasu, A., Liu, Y. Johann Genser, J., Zhao, Y. Han, G. and Guo, X. (2011) U-Pb and 40Ar/39Ar age constrains on protolith and high-P/T type metamorphism of the Heilongjiang Complex in the Jiamusi Massif, NE China. JMPS, 106, 326-331.
Nishimura (1998) Geotectonic subdivision and areal extent of the Sangun belt, Innner Zone of Southwest Japan. J. metamorphic Geol., 16, 129-140.