17:15 〜 18:30
[SSS27-P01] ETASパラメータの推定アルゴリズムによるバラつき
キーワード:地震活動、ETASモデル、パラメータ推定
ETASモデル(Ogata, 1988)により、ある領域における地震の発生系列から余震の影響を取り除いた定常地震活動度 \mu を推定することができる。例として、Llenos et al. (2009)は、ゆっくり変形による応力率の増大が \mu にのみ影響を与え、余震の発生を特徴づけるETASモデルの他のパラメータ(K, α, c, p)には無関係であることを示した。Ide et al. (2013)など、いくつかの研究がこの考えを応用した。Kataoka and Mitsui (2015, JpGU)は、日本周辺の複数の領域でこの方法をテストし、2011 年東北地震直後の富士山周辺でのマグマの貫入や、いくつかの沈み込み帯でのスロースリップイベント、あるいは大地震後のアフタースリップの減衰を示唆する結果を得た。
我々は,上記のパラメータ推定ではOgata(2006)によるSASeis2006を用いた。SASeis2006では、DFP法と呼ばれる準ニュートン法の一種を用いたパラメータ推定が行われている。しかし、Kasahara and Yagi (2015, SSJ)は、ニュートン法に基づく新たな推定アルゴリズムを構築し、特に初期値依存性の面でSASeis2006に改善の余地があることを示した。
これを踏まえ、本研究では、パラメータ推定に複数の手法を導入し、パラメータ推定結果がどの程度バラつくかについて検討を行った。具体的には、SASeis2006に加えて以下の4つの推定手法を用い、同じ初期値を与えて結果を比較した: (1)滑降シンプレックス法 (2)共役勾配法 (3)拘束条件付き準ニュートン法(全てのパラメータが0.01~10の範囲内) (4)ニュートン法。地震活動のデータセットとして、気象庁震源カタログにおけるマグニチュード2以上の地震を用いた。時間範囲は1998~2014年の期間で1年ごとに取り、空間範囲は1993年北海道南西沖地震および2003年十勝沖地震の震源域周辺とした。
結果として、まず、場合によっては解が収束しないことがわかった。このようなケースは、上記のうちSASeis2006および(4)のニュートン法でよく見られた。その他、以下の3つのことがわかった。[1]手法による \mu の推定値のバラつきは小さく、最大値/最小値で大きくても1.8倍程度であった。[2] \mu 以外のパラメータの推定値のバラつきは大きく、最大値/最小値で10倍以上というケースが頻繁に生じた。[3]各手法で推定されたパラメータの対数尤度を比較すると、最大尤度を示したのはニュートン法が約65%と圧倒的に多く、次いで共役勾配法、滑降シンプレックス法となった。
我々は,上記のパラメータ推定ではOgata(2006)によるSASeis2006を用いた。SASeis2006では、DFP法と呼ばれる準ニュートン法の一種を用いたパラメータ推定が行われている。しかし、Kasahara and Yagi (2015, SSJ)は、ニュートン法に基づく新たな推定アルゴリズムを構築し、特に初期値依存性の面でSASeis2006に改善の余地があることを示した。
これを踏まえ、本研究では、パラメータ推定に複数の手法を導入し、パラメータ推定結果がどの程度バラつくかについて検討を行った。具体的には、SASeis2006に加えて以下の4つの推定手法を用い、同じ初期値を与えて結果を比較した: (1)滑降シンプレックス法 (2)共役勾配法 (3)拘束条件付き準ニュートン法(全てのパラメータが0.01~10の範囲内) (4)ニュートン法。地震活動のデータセットとして、気象庁震源カタログにおけるマグニチュード2以上の地震を用いた。時間範囲は1998~2014年の期間で1年ごとに取り、空間範囲は1993年北海道南西沖地震および2003年十勝沖地震の震源域周辺とした。
結果として、まず、場合によっては解が収束しないことがわかった。このようなケースは、上記のうちSASeis2006および(4)のニュートン法でよく見られた。その他、以下の3つのことがわかった。[1]手法による \mu の推定値のバラつきは小さく、最大値/最小値で大きくても1.8倍程度であった。[2] \mu 以外のパラメータの推定値のバラつきは大きく、最大値/最小値で10倍以上というケースが頻繁に生じた。[3]各手法で推定されたパラメータの対数尤度を比較すると、最大尤度を示したのはニュートン法が約65%と圧倒的に多く、次いで共役勾配法、滑降シンプレックス法となった。