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[SSS27-P02] 紀伊半島南東沖の地震の余震活動の異変(2008/10,2014/10)で分かったトラフ周辺の応力構造とその推移
(図面を参照のこと、海底地形名等は便宜上命名した)東進する中国地方下のマントルが近畿地方下の沈み込みスラブの縁を押すので横ずれ右回転で這い上がろうとする(1)。この力はトラフ南側の杭の如き二つの海山に集中するが2004年の地震で「杭」の北側が破壊したため「杭」への伝達ルートが「北から」が「北西から」に転換した(2)。現在も続く余震は本震の割れ残りの消化から北西からの力によるものへと変化しているはずである。(3)の成果を尊重し気象庁一元化震源(4)を予め全体的に南東方向に10kmシフトさせてしまい(深度はそのまま)その経時変化を研究した。
図1に断面の切断位置と記入地震の存在範囲を示す。図2は図1の要部を1.5倍拡大(45度右回転)し'08~'09年の震源を記入した平面図でそのY-Y'断面が図3である。同様に'14~'15年の震源を記入した平断面が図4と図5で図6(y-y'断面)を添えている。図7はx-x'断面に関し'06~'15年の震源の分布の概略を示す。海底地形の情報は全て(5)より得た。海山EMから北西に延びる谷地形(valley)は余震を堰き止める縁切り構造のようだ。この走向は余震分布がなす面の傾斜方向に調和的でもありY-Y'断面の切断方向に採用した。余震分布がなす面は応力伝達面と考える。
変動は'08年10月の初めに発生した(図2,3参照)。平面では海山の前方での発生が主だったが海山の間の空間も含めて南方へ突進した印象である。この空間は圧力が増大したであろう。10月最初の6個を発生順に結んだが海山EMの前方に直線を得た。Y-Y'断面切断方向は妥当である。北西-南東方向で両海山に集中している力を北西圧縮力NWF(W),NWF(E)と名付ける(本震前は北圧縮力NF(W),NF(E))。断面では('07年のtrendも記入したが)屈曲形成で耐えそして限界に達した様子が伺える。応力伝達面が挫屈した領域は平面では膨らんだ地形(両者黒色破線、scr)故常習なのであろう。挫屈後スラリと下方へ伸びた新たな面に変わりNWF(W),NWF(E)は新伝達面を生んだ。海山にとり応力集中する位置が突然20km以上落下した。以上を'08/10短絡と呼ぶ。
2回目の変動('14/10短絡)は'14年10月の初めである(図4,5,6参照)。前月までに両海山の前で浅い位置のもの(scwとsceで示す)が生じ応力伝達面が波打った(比較用に図6に'09年の分布を記入)のは前触れであろう。10月のものに発生日を添付(図4)し隣り合うものを線で結んだ。重要なものには発生順に番号を付けた(マル6の3個は翌月発生)。すると海山EMの前に伸びる線(マル3-1-5-6)と海山WMから発し立体交差で上側を直交しようとする線(マル2-4)が現れた。前者はNWF(E)の新々伝達面で明らかにscrを避け浅部を通過後急降下してEMに達する。それでもNWF(W)と共に'08/10短絡とは逆の上昇である。後者(マル2-4)に関する圧縮力を合成圧縮力SWF(W),SWF(E)と呼ぶ。
北圧縮力NFは0でその反作用SFは現在減少中、北西圧縮力NWFは最大でその反作用SEFは現在増加中と考えられ両海山に働く力はSF,NWF,SEFの合力でSWFである(図8参照)。杭は結局周囲の地面が支える。海山は変位により海底から反作用を獲得するので作用力の急な変化には追従が遅れる。両海山は独立性に大差がありSWF(W)とSWF(E)の方向大きさにも差があろう。(以下図7参照)'08/10短絡後(2期,3期)両海山の間は圧力が増加しているのでSWF(W)がWMを押す方向はさらに圧力が高まり効果的に破壊を誘発する。これが応力伝達面(線)(マル2-4)が出現した背景でSWF(W)とNWF(E)は立体交差した(3期)。'08/10短絡~'14/10短絡(2期)では出現を確認してないがSWF(W)とNWF(E)は深度50km付近での平面交差である。震源域内のプレート内の応力場は収束(北西)方向にほぼ直交するとの指摘(6)はSWF(W)が原因の起震応力をとらえたものと解釈できる。但し北西圧縮力NWF(W),NWF(E)があればこその北東-南西方向応力場である。
(1)間瀬/JpGU2014/SSS29-P10 (2)間瀬/JpGU2015/SSS30-P01 (3)気象庁/山崎他/海底地震計を用いた2004年紀伊半島南東沖の地震の余震観測/気象研究所報告第59巻65-82頁平成20年10月 (4)AIST/地下構造可視化システム/気象庁震源カタログ/≧M1 (5)海保海洋情報部/プレート境界域の精密海底地形図 (6)JAMSTEC/中野他/SSJ2014秋/A22-07/2004年紀伊半島沖地震のメカニズム
図1に断面の切断位置と記入地震の存在範囲を示す。図2は図1の要部を1.5倍拡大(45度右回転)し'08~'09年の震源を記入した平面図でそのY-Y'断面が図3である。同様に'14~'15年の震源を記入した平断面が図4と図5で図6(y-y'断面)を添えている。図7はx-x'断面に関し'06~'15年の震源の分布の概略を示す。海底地形の情報は全て(5)より得た。海山EMから北西に延びる谷地形(valley)は余震を堰き止める縁切り構造のようだ。この走向は余震分布がなす面の傾斜方向に調和的でもありY-Y'断面の切断方向に採用した。余震分布がなす面は応力伝達面と考える。
変動は'08年10月の初めに発生した(図2,3参照)。平面では海山の前方での発生が主だったが海山の間の空間も含めて南方へ突進した印象である。この空間は圧力が増大したであろう。10月最初の6個を発生順に結んだが海山EMの前方に直線を得た。Y-Y'断面切断方向は妥当である。北西-南東方向で両海山に集中している力を北西圧縮力NWF(W),NWF(E)と名付ける(本震前は北圧縮力NF(W),NF(E))。断面では('07年のtrendも記入したが)屈曲形成で耐えそして限界に達した様子が伺える。応力伝達面が挫屈した領域は平面では膨らんだ地形(両者黒色破線、scr)故常習なのであろう。挫屈後スラリと下方へ伸びた新たな面に変わりNWF(W),NWF(E)は新伝達面を生んだ。海山にとり応力集中する位置が突然20km以上落下した。以上を'08/10短絡と呼ぶ。
2回目の変動('14/10短絡)は'14年10月の初めである(図4,5,6参照)。前月までに両海山の前で浅い位置のもの(scwとsceで示す)が生じ応力伝達面が波打った(比較用に図6に'09年の分布を記入)のは前触れであろう。10月のものに発生日を添付(図4)し隣り合うものを線で結んだ。重要なものには発生順に番号を付けた(マル6の3個は翌月発生)。すると海山EMの前に伸びる線(マル3-1-5-6)と海山WMから発し立体交差で上側を直交しようとする線(マル2-4)が現れた。前者はNWF(E)の新々伝達面で明らかにscrを避け浅部を通過後急降下してEMに達する。それでもNWF(W)と共に'08/10短絡とは逆の上昇である。後者(マル2-4)に関する圧縮力を合成圧縮力SWF(W),SWF(E)と呼ぶ。
北圧縮力NFは0でその反作用SFは現在減少中、北西圧縮力NWFは最大でその反作用SEFは現在増加中と考えられ両海山に働く力はSF,NWF,SEFの合力でSWFである(図8参照)。杭は結局周囲の地面が支える。海山は変位により海底から反作用を獲得するので作用力の急な変化には追従が遅れる。両海山は独立性に大差がありSWF(W)とSWF(E)の方向大きさにも差があろう。(以下図7参照)'08/10短絡後(2期,3期)両海山の間は圧力が増加しているのでSWF(W)がWMを押す方向はさらに圧力が高まり効果的に破壊を誘発する。これが応力伝達面(線)(マル2-4)が出現した背景でSWF(W)とNWF(E)は立体交差した(3期)。'08/10短絡~'14/10短絡(2期)では出現を確認してないがSWF(W)とNWF(E)は深度50km付近での平面交差である。震源域内のプレート内の応力場は収束(北西)方向にほぼ直交するとの指摘(6)はSWF(W)が原因の起震応力をとらえたものと解釈できる。但し北西圧縮力NWF(W),NWF(E)があればこその北東-南西方向応力場である。
(1)間瀬/JpGU2014/SSS29-P10 (2)間瀬/JpGU2015/SSS30-P01 (3)気象庁/山崎他/海底地震計を用いた2004年紀伊半島南東沖の地震の余震観測/気象研究所報告第59巻65-82頁平成20年10月 (4)AIST/地下構造可視化システム/気象庁震源カタログ/≧M1 (5)海保海洋情報部/プレート境界域の精密海底地形図 (6)JAMSTEC/中野他/SSJ2014秋/A22-07/2004年紀伊半島沖地震のメカニズム