17:15 〜 18:30
[SSS27-P16] 潮汐の影響を考慮したスロースリップイベントの数値シミュレーション
キーワード:スロースリップイベント、数値シミュレーション、地球潮汐
南海トラフにおける短期的スロースリップイベント(SSE)の発生は,地球潮汐の応力変化に影響されていることが指摘されている(例えば,Nakata et al., 2008; Tanaka and Ide, 2014).また,数値シミュレーションにおいては,SSE発生時の潮汐による影響について,研究が行なわれている(Hawthorne and Rubin, 2013).我々は,これまで地震サイクルにおけるSSE発生挙動についての数値シミュレーションを行ってきており(例えば,Matsuzawa et al., 2010),発生間隔がプレート間地震サイクルの後半において短くなる可能性を指摘している.本研究では,潮汐による応力擾乱が加わった場合について,地震サイクルにおける短期的SSEの発生挙動の数値シミュレーションによる評価を試みた.
数値モデルとしては,Matsuzawa et al. (2010)と同様に40,000個の矩形要素で表される平板の沈み込みプレート形状を仮定し,摩擦則としてはカットオフ速度をもったすべり速度・状態依存則を用いた.短期的SSE領域以深では,カットオフ速度が遅く(10-6.5 m/s),有効法線応力が低くなるパラメター分布を仮定した.以下では,潮汐の応力変化について,剪断・法線応力ともピーク間で2kPaの振幅で,剪断応力最大と法線応力最小の時間が同期する位相をもつ,M2分潮の周期(約12.42時間)の正弦波の応力擾乱を全域に与えた場合の結果を紹介する.
この潮汐を入れた場合の数値シミュレーション結果においては,プレート間地震の発生間隔が,例えば最初の地震と2番目の地震間について,潮汐を入れない場合の106.5年から106.2年に,2番目の地震と3番目の地震間については,106.5年から105.9年に,それぞれ若干の短縮がみられた.これは,潮汐による応力擾乱の影響が地震発生サイクルにも及ぶ可能性を示唆する.
短期的SSEの発生間隔については,潮汐の有無にかかわらず地震サイクル間で減少を示し,顕著な差異はみられなかった.なお,ここでのSSEは,各要素上ですべり速度が沈み込み速度の2倍を超えた期間に5mm以上のすべり量があった場合とし,その開始時間を各要素上でのSSEの発生時として検出した.SSEと潮汐の位相の関係については,その発生時が,剪断応力が最大かつ法線応力が最小となる潮汐の位相を中心に分布する結果が得られた.剪断応力最大から-30度から30度の位相の範囲内に発生時が入る割合は,地震後5~35年目,35~65年目,65~95年目について,それぞれ22.7%,22.7%,22.2%となった.いずれも一様な発生から期待される16.7%よりは,やや高い値となっており,潮汐による応力変化がSSEの発生に一定の寄与をもつことは言える.しかしながら,発生サイクルにおける変化は明瞭ではない.
数値モデルとしては,Matsuzawa et al. (2010)と同様に40,000個の矩形要素で表される平板の沈み込みプレート形状を仮定し,摩擦則としてはカットオフ速度をもったすべり速度・状態依存則を用いた.短期的SSE領域以深では,カットオフ速度が遅く(10-6.5 m/s),有効法線応力が低くなるパラメター分布を仮定した.以下では,潮汐の応力変化について,剪断・法線応力ともピーク間で2kPaの振幅で,剪断応力最大と法線応力最小の時間が同期する位相をもつ,M2分潮の周期(約12.42時間)の正弦波の応力擾乱を全域に与えた場合の結果を紹介する.
この潮汐を入れた場合の数値シミュレーション結果においては,プレート間地震の発生間隔が,例えば最初の地震と2番目の地震間について,潮汐を入れない場合の106.5年から106.2年に,2番目の地震と3番目の地震間については,106.5年から105.9年に,それぞれ若干の短縮がみられた.これは,潮汐による応力擾乱の影響が地震発生サイクルにも及ぶ可能性を示唆する.
短期的SSEの発生間隔については,潮汐の有無にかかわらず地震サイクル間で減少を示し,顕著な差異はみられなかった.なお,ここでのSSEは,各要素上ですべり速度が沈み込み速度の2倍を超えた期間に5mm以上のすべり量があった場合とし,その開始時間を各要素上でのSSEの発生時として検出した.SSEと潮汐の位相の関係については,その発生時が,剪断応力が最大かつ法線応力が最小となる潮汐の位相を中心に分布する結果が得られた.剪断応力最大から-30度から30度の位相の範囲内に発生時が入る割合は,地震後5~35年目,35~65年目,65~95年目について,それぞれ22.7%,22.7%,22.2%となった.いずれも一様な発生から期待される16.7%よりは,やや高い値となっており,潮汐による応力変化がSSEの発生に一定の寄与をもつことは言える.しかしながら,発生サイクルにおける変化は明瞭ではない.