日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT53] 地球科学へのルミネッセンス年代測定の貢献

2016年5月22日(日) 15:30 〜 17:00 203 (2F)

コンビーナ:*杉崎 彩子(産業技術総合研究所)、田村 亨(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、近藤 玲介(皇學館大学教育開発センター)、伊藤 一充(産業技術総合研究所地質調査総合センター)、座長:伊藤 一充(産業技術総合研究所地質調査総合センター)、近藤 玲介(皇學館大学教育開発センター)

16:00 〜 16:30

[STT53-09] 特徴の異なる長石のルミネッセンス信号と地球科学への応用

★招待講演

*塚本 すみ子1 (1.ライプニッツ応用物理学研究所)

キーワード:ルミネッセンス年代測定、長石、OSL熱年代学

近年,長石の赤外励起ルミネッセンス(infrared stimuilated luminescence; IRSL)の発光メカニズムに関する理解が進み,それとともに異なる条件で測定された信号の特徴が明らかになってきた.長石の年代測定で現在主流となっているpost-IR IRSL (pIRIR) 法は従来の低温で測定するIRSLと比べ,フェーディングの影響を受けにくく安定な信号が得られることが知られている.このうちもっとも普遍的に用いられるのはpIRIR150, pIRIR225およびpIRIR290(数字は測定温度)であるが,pIRIRの測定温度の選択方法には明確な基準がない.これらを比較すると高温のpIRIRほどよりフェーディングしにくく,熱的にも安定であるが,ブリーチしにくいことが明らかになってきた.したがって高温のpIRIRは河川堆積物など,ブリーチが難しい環境で堆積した堆積物には不向きと言える.一方,IRSLの測定時に励起光として用いる発光ダイオード(以下LED)にパルスをかけ,LEDがオフの時にのみ信号を測定するパルスIRSLからもフェーディング率の少ない安定な信号を得ることができる.最近の研究により,パルスIRSLは安定であるだけでなく,pIRIR よりも早くブリーチすることが明らかになった.本発表ではこれらの特徴の異なる長石のルミネッセンス信号について解説するとともに,最近開発されたOSL熱年代学についても紹介する.