日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC46] 火山防災の基礎と応用

2016年5月23日(月) 09:00 〜 10:30 201A (2F)

コンビーナ:*吉本 充宏(山梨県富士山科学研究所)、萬年 一剛(神奈川県温泉地学研究所)、宝田 晋治(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)、佐々木 寿(アジア航測株式会社)、座長:吉本 充宏(山梨県富士山科学研究所)、萬年 一剛(神奈川県温泉地学研究所)、常松 佳恵(山梨県富士山科学研究所)

09:45 〜 10:00

[SVC46-04] 溶岩流シミュレーションにおける地形格子サイズの影響~富士山剣丸尾溶岩流を例として~

*常松 佳恵1藤田 英輔2吉本 充宏1内山 高1 (1.山梨県富士山科学研究所、2.防災科学技術研究所観測・予測研究領域 地震・火山防災研究ユニット)

キーワード:地形格子サイズ、数値計算、溶岩流、富士山

平成16年に公表された富士山の火山災害に関するハザードマップは、当時の最新の数値シミュレーションの結果を用いて溶岩流、火砕流、融雪型火山泥流、降灰の影響範囲が地図上に示された。しかし、シミュレーションにはメッシュサイズが200mという粗い数値標高データが使用された。その後10年以上経過し、富士山周辺ではレーザー測量などによるより詳細なメッシュサイズの数値標高データが整備された。今回、これらの標高データを用い、溶岩流の3次元数値モデルLavaSIMを用いて富士山における剣丸尾溶岩流(AD1000)を再現する数値実験を行った。その結果、細かいメッシュサイズを用いるほど溶岩が谷に沿って流れ、より早く麓に到達する様子が見られた。また同じ時間分計算を行ったとしてもメッシュサイズが粗いとより薄く広がり、メッシュサイズが細かいと厚く流れることが明らかになった。このようにシミュレーションによって得られる溶岩の流下範囲や一定距離流れるための時間などの情報は、用いる数値標高データのメッシュサイズにより大きく依存しており、地形のメッシュサイズによる影響を理解した上でハザードマップを作成・利用するとともに、その適用範囲を正しく認識することが重要である。