日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC46] 火山防災の基礎と応用

2016年5月23日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*吉本 充宏(山梨県富士山科学研究所)、萬年 一剛(神奈川県温泉地学研究所)、宝田 晋治(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)、佐々木 寿(アジア航測株式会社)

17:15 〜 18:30

[SVC46-P11] 富士山における突発噴火発生時の登山者対策

*吉本 充宏1内山 高1常松 佳恵1馬場 章1荒牧 重雄1藤井 敏嗣1 (1.山梨県富士山科学研究所)

キーワード:富士山、防災、避難

一般に火山噴火では、噴火前に徐々に噴火レベル等が上昇することを前提にしているため,火口近傍に一時的に滞在する登山客等への防災対策は行われていない.しかし,2014年9月27日の御嶽山噴火災害から,火口近傍に登山客等が訪れる火山では、突発的な噴火に対しての登山者等への防災対策を緊急に行う必要がある.
莫大な登山者を抱えている富士山では、標高2300m地点の五合目に年間300万人の観光客がおとずれ,年間約30万人が山頂を目指している。五合目〜山頂までに滞在する人は1日最大で1万人を超す.また、富士山の北麓では,徒歩による下山には山頂から5合目まで4時間程度、麓までさらに4時間程度かかる.一方、噴火発生時まで火口が何処にできるかわからない点、玄武岩質火山であるため噴火の兆候が検出されてから比較的短い時間で噴火にいたる可能性がある点など,富士山における登山者に対する火山防災上の問題点は多い.
噴火発生時に迅速な避難が行えるように,山梨県では,2014年11月に富士山を訪れる登山者および観光客を対象とした防災対策の検討を開始した.その第1弾として,5合目付近に来訪者への情報提供のために,噴火に遭遇した場合の避難経路を示した「富士山噴火時避難ルートマップ」を作成し,登山シーズン開始前の2015年6月に公表した.その結果、噴火時に火口の位置情報をどのように伝えるか、ルート情報をどのように伝えるか、避難経路の読み取り難さ、噴火時に本当に使えるか、静岡側の登山道との連携など課題が多く出された.今後,これらの課題を踏まえて,避難計画や情報網の整備,情報発信体制の強化などの対策を講じることが重要である.