15:30 〜 15:45
[SVC47-07] 2015年8月15日桜島火山で発生した群発地震活動
キーワード:桜島火山、群発地震
桜島火山では1955年以降、南岳山頂火口でブルカノ式の爆発的噴火を繰り返している。また、2006年に東側山腹にある昭和火口で58年ぶりに噴火が再開し、2009年以降、活発な噴火活動を行ってきた。2015年は1月から山体膨張を示す地盤変動が観測され始め、6月まで毎月100回前後の爆発的噴火が発生するなど特に活発な活動を続けていたが、6月以降、地盤変動は山体収縮に転じ、噴火活動も低調になった。そのような状況の中、8月15日午前8時頃から有感地震を含む群発地震活動と急激な地盤変動が観測された。群発地震のほとんどは火山構造性地震(VT地震)であった。桜島ではVT地震の発生頻度はさほど高くなく、多いときでも40回/月程度である。だが、8月15日イベントでは887回ものVT地震が発生した。また群発地震と合わせて急激な山体膨張を示す地盤変動が観測された。その変動量は桜島南部の有村観測坑道に設置された水管傾斜計で30μradを超えるもので、これまで観測例のない大きな変動であった。本発表では、8月15日の地震活動の時間変化、震源位置、メカニズムおよび地盤変動との関係について報告する。
桜島では火山活動研究センターの他、気象庁、国土交通省も含めて合計17点の地震観測点がある。8月15日イベントについて、P波初動が12点、S波が6点以上で読み取り可能な地震について震源決定を行った。その際、P波速度2.5km/s、Vp/Vs比1.73の半無限均質構造を仮定して震源決定を行っている。得られた震源は南岳~昭和火口下の深さ1.5km~3.5kmに位置している。震源メカニズムは2kmより浅部で発生した地震は正断層型、2kmより深部で発生した地震は横ずれ型が多い。震源位置、震源メカニズムともにこれまで桜島で発生しているVT地震(Hidayati et al, 2007)のものと変わりはなかった。
観測された地盤変動データからダイクモデルを仮定した変動源が推定されており、昭和火口近傍の深さ1.0kmを上端とするほぼ鉛直の北北東-南南西に走行を持つ長さ2.3km、幅0.6kmのダイクが約2m開口することで説明される(Hotta et al., 投稿中)。規模の大きなVT地震の震源と推定されたダイクは隣接しているが、多くはダイクの位置より山頂火口寄り(南岳~昭和火口下)、ダイクの下端より深い場所で発生していた。
最初にトリガーレベル(南岳火口から1.7kmにある地震観測点で10μm/s)を超えるVT地震が発生したのは07時05分であった。その後、地震活動は活発化し、09時03分にM1.5、M1.7の地震が発生した。09時台後半から一時的に地震活動は低調になるが、10時47分にM2.3(最大地震)が発生した後、M1以上の地震が多発し、12時前まで地震活動は高いレベルで継続した。12時以降も規模は小さいながらも地震は多発し、14時台後半と16時台にM1後半~M2前半の地震が発生した。一方、地盤変動は8時頃から顕著になり、9時頃から膨張レートが増加した。9時台後半には膨張が一時的に停止したように見える。しかし、10時27分頃から膨張が再開し、11時54分頃まで膨張レートは増加し続けた。観測された変動の約半分がこの1時間半で進行している。11時54分以降、膨張レートは減少しながらも終日膨張が継続した。地震活動と地盤変動の時間変化を比較すると、09時03分、10時47分の地震にやや先行して地盤変動の膨張が急伸し始めている。また、11時54分に膨張レートが低下し始める前の11時32分と11時43分にVT地震とは異なる大振幅の低周波地震が発生している。この低周波地震はダイクに貫入するマグマの量を減少させるなんらかの原因になったのかもしれない。低周波地震の初動部分は全観測点において押し波で観測されており、初動部分の波形インバージョン解析を行った結果、南岳火口直下1.0kmで等方膨張によって生じている解が得られた。低周波地震の発生場所や初動部分のメカニズムは爆発的噴火に伴う爆発地震と類似しているが、地震発生時に噴火は発生していない。
桜島では火山活動研究センターの他、気象庁、国土交通省も含めて合計17点の地震観測点がある。8月15日イベントについて、P波初動が12点、S波が6点以上で読み取り可能な地震について震源決定を行った。その際、P波速度2.5km/s、Vp/Vs比1.73の半無限均質構造を仮定して震源決定を行っている。得られた震源は南岳~昭和火口下の深さ1.5km~3.5kmに位置している。震源メカニズムは2kmより浅部で発生した地震は正断層型、2kmより深部で発生した地震は横ずれ型が多い。震源位置、震源メカニズムともにこれまで桜島で発生しているVT地震(Hidayati et al, 2007)のものと変わりはなかった。
観測された地盤変動データからダイクモデルを仮定した変動源が推定されており、昭和火口近傍の深さ1.0kmを上端とするほぼ鉛直の北北東-南南西に走行を持つ長さ2.3km、幅0.6kmのダイクが約2m開口することで説明される(Hotta et al., 投稿中)。規模の大きなVT地震の震源と推定されたダイクは隣接しているが、多くはダイクの位置より山頂火口寄り(南岳~昭和火口下)、ダイクの下端より深い場所で発生していた。
最初にトリガーレベル(南岳火口から1.7kmにある地震観測点で10μm/s)を超えるVT地震が発生したのは07時05分であった。その後、地震活動は活発化し、09時03分にM1.5、M1.7の地震が発生した。09時台後半から一時的に地震活動は低調になるが、10時47分にM2.3(最大地震)が発生した後、M1以上の地震が多発し、12時前まで地震活動は高いレベルで継続した。12時以降も規模は小さいながらも地震は多発し、14時台後半と16時台にM1後半~M2前半の地震が発生した。一方、地盤変動は8時頃から顕著になり、9時頃から膨張レートが増加した。9時台後半には膨張が一時的に停止したように見える。しかし、10時27分頃から膨張が再開し、11時54分頃まで膨張レートは増加し続けた。観測された変動の約半分がこの1時間半で進行している。11時54分以降、膨張レートは減少しながらも終日膨張が継続した。地震活動と地盤変動の時間変化を比較すると、09時03分、10時47分の地震にやや先行して地盤変動の膨張が急伸し始めている。また、11時54分に膨張レートが低下し始める前の11時32分と11時43分にVT地震とは異なる大振幅の低周波地震が発生している。この低周波地震はダイクに貫入するマグマの量を減少させるなんらかの原因になったのかもしれない。低周波地震の初動部分は全観測点において押し波で観測されており、初動部分の波形インバージョン解析を行った結果、南岳火口直下1.0kmで等方膨張によって生じている解が得られた。低周波地震の発生場所や初動部分のメカニズムは爆発的噴火に伴う爆発地震と類似しているが、地震発生時に噴火は発生していない。