日本地球惑星科学連合2016年大会

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口頭発表

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[U-04] 連合は環境・災害にどう向き合っていくのか?

2016年5月25日(水) 15:30 〜 17:00 国際会議室 (2F)

コンビーナ:*田中 賢治(京都大学防災研究所)、作野 裕司(広島大学大学院工学研究院)、後藤 真太郎(立正大学地球環境科学部環境システム学科)、座長:田中 賢治(京都大学防災研究所)、作野 裕司(広島大学大学院工学研究院)、後藤 真太郎(立正大学地球環境科学部環境システム学科)

15:45 〜 16:00

[U04-07] 平成27年関東・東北豪雨による鬼怒川洪水に関する調査活動を経て

*芳村 圭1 (1.東京大学大気海洋研究所)

キーワード:平成27年9月関東・東北豪雨、鬼怒川洪水

我々の研究グループでは、2015年9月10日(木)に発生した鬼怒川での越水・破堤に関する調査を行い、その結果を比較的早い時期からウェブサイトで公開した(第一報は9月14日(月)の夜9時ごろに公開)。久々の首都圏での洪水ということでメディアは現場に殺到し、国民に届けられる情報の量としては十分であったように見えるが、本当に必要とされる情報は欠落していたり、混乱を生むような誤解やデマもあったりしていた。そういう中で専門家のやるべきことは、プロとしての目線から事象を捉え、メディアが見落としてしまうような情報を社会に提供したり、より真実に近い情報を選別したりすることである。今回我々が特に注意した点は、必要に応じて現場を調査しつつ、昨今大量に存在するリアルタイムデータ、或いは過去のデータを俯瞰的にまとめ上げ、客観的に分析・解釈することであり、なおかつそれらをなるべく迅速かつ正確に行うということであった。それらを踏まえて、14日夜の第一報の後、15日(火)に二次調査に赴き、19日(土)朝に第二報をアップ、同日に第三次調査という具合に進めていった。それらの作業には、チーム力が極めて重要であり、携わった学生・スタッフ諸氏に改めて感謝したい。一方で、後で分かったことであるが、我々のチームと同様、複数の研究グループが似たような行動を起こしていた。中でも筑波大学白川准教授らは地の利を生かしていち早く被災地に入り、約一か月にわたって罹災状況調査を続け、京都大学佐山准教授は、単身遠方から乗り込み、最新型GPSを使った最大深水面高度の測定・分析をいち早く行った。これらのような個々の活動には目を見張るものが多数あるが、それらの活動には限界があり、全体で見たときの重複や疎漏も免れない。そのため、今回土木学会と地盤工学会の合同調査団が行ったような、学会によるリーダーシップのもと個々のグループによる情報交換と交通整理の場を設けることは大変重要である。