日本地球惑星科学連合2016年大会

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[U-06] 大型研究計画-マスタープラン2017とその先を見据えて

2016年5月24日(火) 15:30 〜 16:55 102 (1F)

コンビーナ:*大久保 修平(東京大学地震研究所)、藤井 良一(名古屋大学)、永原 裕子(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、津田 敏隆(京都大学生存圏研究所)、木村 学(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、座長:大久保 修平(東京大学地震研究所)

16:09 〜 16:22

[U06-12] 極域科学のフロンティア -南極観測・北極観測の新展開による地球環境変動研究-

★招待講演

*中村 卓司1白石 和行1杉本 敦子2杉山 慎3 (1.国立極地研究所、2.北海道大学大学院 地球環境科学研究科、3.北海道大学 低温科学研究所)

キーワード:極域科学、南極、北極

本計画は、過去から現在、未来にわたる地球環境の変動が際立って反映される南北両極域の重要且つ貴重な情報について、プラットフォームを整備活用して取得することで学際的研究の推進をはかるものである。
北極では地球温暖化による平均気温の上昇が最も大きく、気候変動による影響が最も顕著に現れ、生態系や地域住民の生活に影響を及ぼしており、さらには世界全体の経済活動を変化させる可能性がある。一方、南極域では地球温暖化に対する巨大な氷床の応答も未だ不明な点が大きいなど、大規模な地球規模変動の可能性とその予測が大きな関心となっている。また、これらの両極の変化は独立でなく、海洋・大気循環を通じて連鎖していることから、両極をひとつのシステムとして捕らえることが必要となる。これらに留まらず、南極・北極は、様々な宇宙惑星科学、大気水圏科学、固体地球科学の最適な観測・調査フィールドとなっており、まさに地球惑星科学の窓となる重要な研究領域である。具体的な計画は下記の通りである。
(1) 新内陸プラットフォームを活用した南極観測
通年で地球観測や天文観測が可能な「南極内陸基地」を世界先端拠点として新たに整備する。新内陸プラットフォームでのアイスコア掘削により百万年前までの気候を詳細に解析し、国際競争での一番のりをめざす。地球史における最重要テーマの一つである氷期・間氷期サイクルの正しい理解再現に挑戦する。さらに、周辺海氷縁まで含めた古気候データや、内陸大気の観測、大型大気レーダーによる鉛直精密観測、次世代VLBI による地球回転変動を含めた環境動態監視などと協調することで、地球大気上空から内部までの水平・鉛直観測によりデータを蓄積し、将来の地球環境変動予測の高度化・精緻化を目指す。
(2) 北極域環境変動研究
オールジャパンの北極域研究プロジェクト補助金事業で国際協働体制による整備をすすめる「環北極観測網」を活用した、大気・陸域現地観測やモニタリング観測、時間変動情報を構築するアイスコア掘削及び氷床・氷河観測と広域機動性を持つ観測船・航空機・衛星による観測データにより、急激に変化する北極域の理解を深める。
(3) 総合解析による極域およびグローバルな地球システム変動の研究
(1)・(2)の極域のデータを総合的に解析しモデル研究と協働で全球的な地球環境変動を理解する地球システムのモデルの高精度化に寄与する。また、両極域の観測・解析による膨大なデータを集積し、研究者へ提供するとともにフィードバックを観測側へ伝える双方向性の共同研究を整備し地球惑星科学の新展開を図る。