15:30 〜 15:45
[AAS06-01] 2007, 2011年の南極昭和基地における地上FTIR及びMLS, MIPAS観測による塩素化合物の変動
キーワード:昭和基地、FTIR、塩素化合物、オゾン、MLS、MIPAS
南極昭和基地(69.0S, 39.6E) において、2007年よりBruker社製IFS-120M型FTIRを観測棟に設置し、太陽赤外線を光源に用いた大気微量成分の観測を行っている。本研究では2007年及び2011年に注目し、昭和基地における地上FTIRによるO3, HNO3, HClのスペクトルからのSFIT2による観測結果に加え、オゾンゾンデによる上空のオゾン観測、及び人工衛星Aura/MLSによるClO, HCl, HNO3、また人工衛星Envisat/MIPASによるClONO2の観測結果を併せた、昭和基地上空での塩素化合物の変動の様子に関する解析結果について報告する。
今回は、高度18 kmと22 kmに注目して結果を解析した。その結果、昭和基地における冬季にあたる6月初めごろからHCl濃度が減少を始めることが判った。これは、昭和基地上空におけるPSCの出現によるものである。昭和基地上空に太陽光が戻ってくる8月初めからClO濃度が上昇を初め、9月前半にピークになる。そのころまだHCl濃度はほとんどゼロのままである。9月中旬から10月にかけて、ClO濃度の減少とともに、ClONO2濃度の増加とHCl濃度の増加がみられる。これらどちらのリザーバーにより多くのClyが回復するかは、冬によって、また高度によって異なっていることが判った。また、O3濃度は8月末から減少を始め、10月に最低となりオゾンホールが形成される。これら、南極基地上空において、地上観測によってCly濃度のパーティショニングの様子が観測されたのは世界初である。さらに、Clyパーティショニングの変動の様子が、観測高度によっては北極におけるそれとは異なる変動を示すことが確認された。これらは、南極上空成層圏のオゾン濃度が、オゾンホールのため北極上空より低いことが原因であると考えられる。FTIRと衛星によるClyパーティショニングの様子は、3次元化学気候モデルMIROC3.2の結果と比較された。いくつかの化学種では絶対値に系統的な差が見られたが、相対的な変動は化学気候モデルで比較的良く再現されることが判った。また昭和基地の秋~初冬にかけて、HClとClONO2のPSC上での反応によって、ClONO2がほぼゼロになったのちもHClが減り続ける現象が見られたが、その原因が極渦境界付近でのClONO2が大きい空気塊が徐々に極渦内部の空気塊と混合し、より高緯度側のHClの更なる減少につながっている可能性が明らかとなった。
今回は、高度18 kmと22 kmに注目して結果を解析した。その結果、昭和基地における冬季にあたる6月初めごろからHCl濃度が減少を始めることが判った。これは、昭和基地上空におけるPSCの出現によるものである。昭和基地上空に太陽光が戻ってくる8月初めからClO濃度が上昇を初め、9月前半にピークになる。そのころまだHCl濃度はほとんどゼロのままである。9月中旬から10月にかけて、ClO濃度の減少とともに、ClONO2濃度の増加とHCl濃度の増加がみられる。これらどちらのリザーバーにより多くのClyが回復するかは、冬によって、また高度によって異なっていることが判った。また、O3濃度は8月末から減少を始め、10月に最低となりオゾンホールが形成される。これら、南極基地上空において、地上観測によってCly濃度のパーティショニングの様子が観測されたのは世界初である。さらに、Clyパーティショニングの変動の様子が、観測高度によっては北極におけるそれとは異なる変動を示すことが確認された。これらは、南極上空成層圏のオゾン濃度が、オゾンホールのため北極上空より低いことが原因であると考えられる。FTIRと衛星によるClyパーティショニングの様子は、3次元化学気候モデルMIROC3.2の結果と比較された。いくつかの化学種では絶対値に系統的な差が見られたが、相対的な変動は化学気候モデルで比較的良く再現されることが判った。また昭和基地の秋~初冬にかけて、HClとClONO2のPSC上での反応によって、ClONO2がほぼゼロになったのちもHClが減り続ける現象が見られたが、その原因が極渦境界付近でのClONO2が大きい空気塊が徐々に極渦内部の空気塊と混合し、より高緯度側のHClの更なる減少につながっている可能性が明らかとなった。