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[AAS06-21] 海洋地球研究船「みらい」での海洋大気組成観測:オゾン濃度の時空間分布と再解析データとの比較
キーワード:船上観測、大気組成、化学過程
オゾンやエアロゾルなどの大気微量成分は、放射との相互作用を通じて地球規模での気候変動を誘起する因子である。そのため、外洋大気を含む全球規模での濃度分布と変動を理解することが求められる。しかしながら、海上での大気組成観測データは限られており、数値モデルの検証が不十分である。そこで我々は、2010年以降、JAMSTECの海洋地球研究船「みらい」での20以上の航海に参加し、北極海から南大洋まで広域の大気組成マッピング観測を実施することで、実観測データによる数値モデルや濃度変動支配過程の検証を進めており、本発表ではその概要を紹介する。また、海洋大気中のオゾン濃度に関し、最新の同化モデルによる再解析データTCR-1との比較検証を行った結果について議論する。船舶排煙の影響を受けた1分値を取り除いてから1時間値を算出し、近傍のモデルグリッド(995hPa面) の6時間値と比較した。観測濃度の極大は30°N付近にみられ、アジア大陸から海域への汚染気塊の輸送に伴う濃度上昇と考えられた。この特徴は再解析データでも共通であった。観測値とモデル再解析データの間には高い正の相関がみられ(R2 = 0.56)、モデル再解析データがオゾンの実際の時空間分布や変動をよくとらえていることが示された。しかしながら、北極域(北緯70°以北)では観測値(平均30.9ppb)を再解析データ(平均21.6ppb)が過小評価する傾向が見られた。成層圏からの降下の寄与なども含め、検討が必要と考えられる。また、日本の南部の海域(125-165°E, 10°S-25°N)では、再解析データではほとんど見られない10ppb以下のオゾン濃度がしばしば観測されており、モデルで考慮されていないハロゲン類による対流圏オゾン破壊の可能性が示唆された。