日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EJ] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG38] 北極域の科学

2018年5月24日(木) 10:45 〜 12:15 201A (幕張メッセ国際会議場 2F)

コンビーナ:津滝 俊(東京大学)、漢那 直也(北海道大学 北極域研究センター)、鄭 峻介(北海道大学 北極域研究センター、共同)、中村 哲(北海道大学大学院地球環境科学研究院)、座長:中村 哲(北海道大学地球環境科学研究院)

11:30 〜 11:45

[ACG38-10] 日本海側中部日本域(新潟)での降雪分布とユーラシアジェット変動・シベリアブロッキングとの関係

*山崎 哲1本田 明治2川瀬 宏明3 (1.海洋研究開発機構 アプリケーションラボ、2.新潟大学 理学部 自然環境科学科、3.気象庁 気象研究所)

キーワード:大気ブロッキング、旬平均場、里雪・山雪

日本海側中部日本域でのローカルな降雪分布と,グローバルな季節内変動,特に極東域でのブロッキングとユーラシアを横切るジェットの変動との関係についてに調査した.降雪分布は,日本の代表的な豪雪地帯である新潟を対象とした.新潟の降雪分布として,3つの主要なものが知られている.(1) 里雪型:沿岸域を中心に降雪が卓越する,(2)山雪型:内陸の山間部に降雪が卓越する,(3)里山雪型:新潟全域で降雪が発生する.先行研究では,どの型が発現するかは,降雪を引き起こす対流システム(∼10–100 km)を内包する総観場(∼1000 km)によって支配されていることが明らかにされた.
 この研究では,それぞれの降雪型と大循環場(∼5000–10000 km)にみられる季節内変動との関係について調査する.季節内変動として,特に対流圏上層のジェット上のものに注目する.ここで,降雪の多かった旬(月の3分の1)を里雪,山雪,里山雪型イベントとして,全球再解析データJRA-55を用いて合成図解析を行った.その結果,全ての降雪型に,日本上空での偏西風ジェットの南偏,あるいは大規模トラフ強化(低気圧偏差あるいは低温偏差)が関係していた.このトラフは,ブロッキングの発生頻度が東シベリアで有意に増加していたことからブロッキング低気圧と同定された.このトラフが強化されるメカニズムはそれぞれの降雪型で異なっていた:ユーラシア上のジェットに沿う準定常Rossby波伝播の違いと,ブロッキング発生の相対位置の違いが見られた.結論として,全球再解析データで明白に区別できるほどの大循環場変動によって新潟での局所的な降雪分布が決定されていることがわかった.