日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG41] 植物プランクトン増殖に関わる海洋-大気間の生物地球化学

2018年5月22日(火) 15:30 〜 17:00 106 (幕張メッセ国際会議場 1F)

コンビーナ:宮崎 雄三(北海道大学低温科学研究所)、西岡 純(北海道大学低温科学研究所)、鈴木 光次(北海道大学、共同)、岩本 洋子(広島大学 生物圏科学研究科)、座長:西岡 純(北海道大学 低温科学研究所)

16:00 〜 16:15

[ACG41-09] みらいMR0704航海で観測された夏季の北部北太平洋における大気と海水のDMSとpCO2の経度分布

*永尾 一平1村田 昌彦2岩本 洋子3植松 光夫4 (1.名古屋大学大学院環境学研究科、2.海洋研究開発機構地球環境観測研究開発センター、3.広島大学大学院生物圏科学研究科、4.東京大学大気海洋研究所)

キーワード:ジメチルサルファイド、二酸化炭素、円石藻

2007年8月に北部北太平洋の北緯47度上の東経160度~西経120度で実施されたMR07-04航海において、大気と海水のDMSとCO2、および海水中のDMSP (DMSの前駆物質)の各濃度を測定した。また、測定データを用いて大気と海洋間のDMSとCO2のフラックスの経度分布を計算した。その結果、西経170度付近で表層海水中に高濃度のDMSとCO2が観測された。このとき低気圧による強風の影響も加わり、大気へのDMS放出量が大きな値であった。また、海水中のCO2分圧(pCO2)が大気のそれよりも高くなり、CO2が海洋から大気に放出されていた。この経度付近の海水中の高濃度のDMSとCO2をもたらした要因を調べたところ、海水の懸濁粒子中の生物由来のCa濃度が高く、円石藻の増加を示唆していた。円石藻はChl aあたりのDMSP濃度が高い種であり、その外側に石灰殻を形成するときに海水中にCO2を放出する。測定データと文献の情報を基に考察した結果、ひとつの仮説として、円石藻の増加により、気候への影響が相反するDMSとCO2の海水中濃度の増加、および大気への放出の増加をもたらしたと考えられる。