日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG41] 植物プランクトン増殖に関わる海洋-大気間の生物地球化学

2018年5月22日(火) 15:30 〜 17:00 106 (幕張メッセ国際会議場 1F)

コンビーナ:宮崎 雄三(北海道大学低温科学研究所)、西岡 純(北海道大学低温科学研究所)、鈴木 光次(北海道大学、共同)、岩本 洋子(広島大学 生物圏科学研究科)、座長:西岡 純(北海道大学 低温科学研究所)

16:30 〜 16:45

[ACG41-11] 蛍光染色に基づく海洋上のバイオエアロゾル観測

*宮川 拓真1金谷 有剛1竹谷 文一1松本 和彦1吉末 百花2 (1.国立研究開発法人 海洋研究開発機構、2.東京理科大学)

キーワード:バイオエアロゾル、海洋性大気

大気中に浮遊する生物由来の一次放出エアロゾル (バクテリア・真菌胞子・花粉やそれらの分解生成物の総称) はバイオエアロゾルと呼ばれ、その気候変動 (氷晶核として) や人間の健康 (病原菌として) に対する顕著なインパクトを持ちながら、その動態は発生源・メカニズムの多様性から、いまだ不明確であり、大気観測による知見の集積は喫急の課題の一つである。 (Frohlich-Nowoisky et al., 2016) バイオエアロゾルの計測手法の一つに、バイオエアロゾルが持つ蛍光特性に基づく計数法がある。近年、バイオエアロゾル自身が光吸収に伴って蛍光を発する「自家蛍光 (autofluorescence)」に着目して、単一粒子レベルの自家蛍光計測手法の開発が行われてきた。実時間計測できるメリットがありながらも、自家蛍光計測では夾雑物による偽計数が問題となることがある。(Miyakawa et al., 2015) 一方で、一般的な微生物計測に用いられる染色蛍光法 (epifluorescence) も大気エアロゾルへの適用が可能である。(例えば、Hara and Zhang et al., 2012) 顕微鏡観察による計数は時間的な労力を要し、データ数に大きな制約を生む。バイオプローラ― (BP、光洋産業) は、キット化された染色試薬の添加によって作成した試料の蛍光顕微鏡観察を自動化した食品衛生分野で主に使われる菌数計数装置である。(Nishimura et al.,2006) 発表では、2017年の2月に実施した南太平洋での船舶観測時に2種の方法で観測されたバイオエアロゾル濃度の時間変動と海洋や気象条件との関連性などについて議論する。

引用文献
Frohlich-Nowoisky et al. (2016), Bioaerosols in the Earth system: Climate, health, and ecosystem interactions, Atmos. Res., 182, 346-376.
Hara and Zhang (2012), Bacterial abundance and viability in long-range transported dust, Atmos. Environ., 47, 20-25.
Miyakawa et al. (2015), Ground-based measurement of fluorescent aerosol particles in Tokyo in the spring of 2013: Potential impacts of nonbiological materials on autofluorescence measurements of airborne particles, J. Geophys. Res., 120, doi:10.1002/2014JD022189.
Nishimura et al. (2006), Use of an automatic cell-counting system with LED illumination for enumeration of marine bacteria, Fisheries Science, 72: 723-727. doi: 10.1111/j.1444-2906.2006.01210.x