日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS18] 海洋物理学一般

2018年5月22日(火) 10:45 〜 12:15 104 (幕張メッセ国際会議場 1F)

コンビーナ:岡 英太郎(東京大学大気海洋研究所)、川合 義美(国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球環境観測研究開発センター)、東塚 知己(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、座長:西川 はつみ

11:00 〜 11:15

[AOS18-08] 日本海・亜寒帯前線における近慣性内部重力波と倍音振動に関する観測的研究

★招待講演

*川口 悠介1和川 拓2井桁 庸介2 (1.東京大学・大気海洋研究所、2.日本海区水産研究所)

キーワード:日本海、内部重力波の捕捉、相対渦度、倍音振動 、非線形共鳴

日本海佐渡沖の亜寒帯前線(・対馬暖流海域)に設置された係留流速を解析し、大気擾乱を起源とする内部重力波のエネルギー循環について研究を行った。観測データから、負の相対渦度が支配的であった2015年の秋に、振幅が> 50 cm s-1におよぶ近慣性内部重力波(NIW)のシグナルが検出された。海上風速の再解析データの解析から、NIWは日本海上を通過した爆弾低気圧に起源を持つと考えられる。係留計の流速データから、NIWが負の渦度構造内部に捕捉され、海洋上層を伝搬する様子が捉えられた。特筆すべき事項は、NIWが渦の基底にあたる深度において慣性振動の倍数(2、3、4倍)の周波数帯に強いピークを伴った件である(スペクトル図参照)。ここで、倍音振動の発生は、渦基底において増幅したNIW(Kunze, 1995)が非線形共鳴を起こした結果と考えらえれる( Danioux et al., 2008)。本研究の結果から日本海における力学エネルギーの循環モデルの一例が示された:(1)低気圧による海洋上層へのエネルギー注入、(2)負渦度領域での波の捕捉(&渦基底での増幅)、(3)非線形共鳴による倍音振動へのエネルギー遷移、(4)乱流スケールでの散逸。