日本地球惑星科学連合2018年大会

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[EE] Eveningポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG37] Asian monsoon hydro-climate and water resources research for a next GEWEX RHP

2018年5月20日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:鼎 信次郎(東京工業大学 環境・社会理工学院)

[ACG37-P05] 陸面・海面を考慮したエネルギーバランスモデルによる気候の多重平衡解

*細井 遵敬1山田 朋人2 (1.北海道大学工学部、2.北海道大学大学院工学研究院)

キーワード:気候変動、多重平衡解、エネルギーバランスモデル、アイス・アルベド・フィードバック

近年、地球温暖化は持続可能な社会の実現において重要な問題である。気候変動に関する政府間パネルが取りまとめた、第五次評価報告書(IPCC AR5)では、複数の温暖化シナリオに沿った数十年から百年単位の気候変動がシミュレートされている。一方、南極で採取された氷の間隙に含まれる大気の二酸化炭素濃度から逆算された気温偏差の移り変わりを見てみると、その上昇の仕方と下降の仕方は対照的ではない。このことは気候変動を考える上で、私たちがどのような気候場を考慮しなければならないかという問いを提示する。

その問いに対する答えの一つが気候の多重平衡解である。多重平衡解とはBudykoやSellersが1969年に初めて提唱した考えで、地球の気候は二つの安定な気候場を持っており、一方から他方へは不可逆的に遷移するという考え方である。そして、気候の多重平衡解の主な原因はice-albedo feedbackだと考えられている。この多重平衡解を考えるために、私たちはエネルギーバランスモデルを採用した。

Wagner and Eisenmanは、季節性と南北方向の熱拡散を取り入れたエネルギーバランスモデルを考案している。そのエネルギーバランスモデルは地球の表面を全て海であると仮定しており、海面上での結氷の効果を取りいれている。しかし、地球には陸面や陸氷も存在し、それらは熱容量や存在する場所で海氷とは大きく異なる。そのため、私たちはWagner and Eisenmanによって提唱されたエネルギーバランスモデルに、陸域の要素を付け加えることで、高地に存在する万年雪や冬季に出現する広大な面積を持つ陸氷が気候の多重平衡解にどのような影響を与えるのかを調べた。

このモデルを用いて、南北方向の熱拡散量・季節性・結氷する温度・アルベドの違いの4つの要素を変更することが、多重平衡解の出方にどのような影響を与えるかを調べた。その結果、南北方向の熱拡散量と季節性は多重平衡解の出方を抑制する働きを、結氷する温度を高くすることと、アルベドの違いは多重平衡解の出方を助長する働きを示すことがわかった。