[AHW24-P02] 白川中流域低地及びその周辺地域における熊本地震に伴う水張事業(人工地下水涵養)の縮小がもたらした地域地下水への影響
キーワード:2016年熊本地震、休耕田水張事業、人工地下水涵養
精力的に地下水を利用している熊本地域においては、その持続的管理のために100本以上の地下水観測井戸によって過去30年近いモニタリングが行われてきている。これらの観測結果からは、地域の地下水資源が長期的に低減傾向にあることが確認されており、それに対する対策手段として水理地質的に涵養効果の高いことが判明している白川中流域低地において、休耕田に湛水を行う地下水人工涵養策が2004年より地域の自治体や農業団体等の連携によって取り組まれ実績を挙げてきた。2016年4月の熊本地震により地域全体の田畑や灌漑水路が著しい被害を受け、白川中流域低地においても上記の水張事業(例年の30%程度)どころか水田農業そのものが大幅に低下した。当該地域の関係機関が精力的に地震災害復旧に取り組んだ結果、2017年度には通常年の90%程度にまで水張事業を回復することができた。この広範囲な人工涵養の一時停止が地域の地下水資源に与える影響について、観測資料をもとに地下水位と水質の長期変動データからの考察を試みる。