日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] Eveningポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-RE 応用地質学・資源エネルギー利用

[H-RE13] 再生可能エネルギー分野での地球科学データの可能性

2018年5月22日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:大竹 秀明(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター)、宇野 史睦(産業技術総合研究所)、島田 照久(弘前大学大学院理工学研究科、共同)、野原 大輔(電力中央研究所)

[HRE13-P01] 浅瀬石川流域におけるオープン方式地中熱ヒートポンプシステムのための浅層地下水水質評価

*井岡 聖一郎1町田 功2村岡 洋文1鈴木 陽大3 (1.弘前大学北日本新エネルギー研究所、2.国立研究開発法人産業技術総合研究所、3.弘前大学理工学研究科)

キーワード:浅瀬石川、地下水水質、オープン方式地中熱ヒートポンプシステム

積雪寒冷地域では,冬季の暖房用燃料として化石燃料が利用されていることが多いが,省エネルギー,温室効果ガス排出抑制の観点からは地中熱の利用が注目されている。地中熱利用ヒートポンプシステムでは,クローズド方式とオープン方式があり,オープン方式の方がクローズド方式より効率が良い。しかしながら,オープンループ方式は一旦地下水を揚水することが必要である。このとき地下水の水温や水質に変化が生じ、沈殿物などが生じる可能性がある。地下水の水質は一様ではなく,不均質性が高いことから,本研究では扇状地を研究対象に,上流から下流にかけて4地点で地下水を採取し,地下水熱利用時における沈殿物の生成評価を実施し,地域的な差異を明らかにした。
 本研究では,青森県津軽平野の浅瀬石川扇状地において深度約10mの観測孔3地点と深度が不明な井戸1地点から地下水を採取した。採取時に現地でpH,電気伝導率,水温を測定した。分析項目は,Na+, NH4+, K+, Mg2+, Ca2+, F-, Cl-, Br-, NO3-, SO4-, Fe, Mn, Sr, Ba, Si,アルカリ度である。沈殿物の生成評価はPHREEQCを用いて実施した。
 沈殿物の生成評価の結果,炭酸塩鉱物や非晶質シリカの沈殿物は,4地点すべてで飽和指数が未飽和であり,起きにくいことが明らかになった。一方,鉄の沈殿物は,最も上流に位置する地点のみ未飽和で起きにくいことが示された。以上の結果,扇状地の上流部の地域が,沈殿物の生成の観点から地下水熱利用において有利であることが明らかになった。