日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EJ] Eveningポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD02] 測地学一般・GGOS

2018年5月23日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:松尾 功二(国土地理院)、横田 裕輔(海上保安庁海洋情報部)、若杉 貴浩(国土交通省国土地理院)

[SGD02-P04] 高精度衛星測位の適用範囲拡大のための技術開発 -3次元建物情報を活用したマルチパス誤差軽減手法の改良-

*大中 泰彦1 (1.国土交通省国土地理院)

キーワード:マルチパス、GNSS、3次元建物情報

上空が高い建物で遮られた都市部の街路等の環境では、GNSS測位の精度は大きく落ちてしまう。これはGNSS信号が建物等で反射、回折することで発生するマルチパスによる影響が大きい。

国土地理院では、平成27年度から3年間、国土交通省総合技術開発プロジェクト「3次元地理空間情報を活用した安全・安心・快適な社会実現のための技術開発」に取り組んできた。このうち、「屋外3次元空間における高精度衛星測位の適用範囲拡大のための技術開発」では、衛星測位の精度に悪影響を及ぼす高層ビル等によるマルチパスの影響を、ソフトウェア的な対策により軽減するための技術開発を行ってきた。

平成28年度までに、マルチパスの影響を軽減する手法に関する先行研究の調査、選定、検証用プログラムの開発を行った上で、衛星測位が困難な都市部(兵庫県神戸市)においてGNSS観測を実施し、様々な上空視界状況、衛星配置におけるマルチパス軽減手法の効果について検証を行った。

その結果、「上空写真による衛星選択」及び「3次元建物情報から生成したスカイプロットによる衛星選択」の手法によるマルチパス軽減効果が高いことがわかった。しかし、前者の手法は現地において通常のGNSS観測以外の作業が必要であるため汎用性が低く、後者の手法は汎用性が高いが、3次元建物情報を利用するために必要な概略座標を求める必要がある。

そこで、平成29年度は、前年度までの検証結果を元に、3次元建物情報を利用する際に概略座標を求める手法の開発、及び概略座標に要求される精度の検証、リアルタイム測位を模した検証等を行った。本発表では平成29年度に得られた成果について報告する。