[SGL29-P05] DONETによる熊野海盆泥火山の活動検知の試み
キーワード:泥火山、地震信号、DONET
泥火山は、地下深部から地表への堆積物と流体移動を伴う地質現象であり、地表に形成された地形的特徴である。地下から堆積物が上昇するのは、それが浮力を持つからに他ならない。地下深部の堆積物が浮力を持つ理由としては、熱の獲得(地熱地帯)、流体の生成と流入、岩石・堆積物の密度の逆転が上げられる。あるいは、流動化した堆積物なら流体の通り道となりうる断層面を伝う上昇が考えられる。日本では、海域に群発する泥火山の報告がある。太平洋側の熊野海盆と種子島沖にはそれぞれ少なくとも14の泥火山が特定されているし、泥火山ほど地形的特徴に表れにくく削剥されやすい特徴は、日本沿岸の多くの海域で未探査であると考えられる。海域の泥火山は再訪性と観測技術の未確立のために、その活動内容が理解されているとは言い難い。
DONET(Dense Oceanfloor Network system for Earthquakes and Tsunamis)は、熊野海盆泥火山分布域に重複するようにして敷設されている、地震・津波観測監視システムである。DONETは南海トラフで発生する地震と津波到来をいち早く検知するよう常時観測体制が敷かれているが、これを泥火山の活動検知に利用する試みを始めた。
泥火山活動に関連する地震活動としては、地下における貫入体の上昇、および地表~水中へのガスバブル放出が考えられる。地震研究所小原教授にご提供をいただいた、2001年12月に駿河湾で発生した何らかの大規模な振動現象だと解釈される陸上地震計で得た地震波の特徴をもとにして、DONETの微差圧計データに以下の特徴を探した。
○ スペクトルの5~6Hzに特徴的なピークを持つ波。
○ DONET観測点に明らかに近接する泥火山が存在する、DONET1のAノードおよびDノードに際立った特徴を持つ波。
○ 少なくとも10~20分継続する、第一波から立ち上がる矩形の波(紡錘形ではない)
DONETの微差圧計データに地震波形は多数みられるが、上述の条件を満たすシグナルは多くなく、例えば2017年1月中には2回にとどまる。2016年4月1日に発生した紀伊半島沖地震(マグニチュード6.1)は地下の性状を乱したことが考えられるので、前後2週間に上述の特徴を探したが、明らかな特徴は見つからなかった。これが地震波の巨大なシグナルに隠れているのか、地震に伴う泥火山活動がなかったのか、など、分野を超えての議論検討が必要である。
DONET(Dense Oceanfloor Network system for Earthquakes and Tsunamis)は、熊野海盆泥火山分布域に重複するようにして敷設されている、地震・津波観測監視システムである。DONETは南海トラフで発生する地震と津波到来をいち早く検知するよう常時観測体制が敷かれているが、これを泥火山の活動検知に利用する試みを始めた。
泥火山活動に関連する地震活動としては、地下における貫入体の上昇、および地表~水中へのガスバブル放出が考えられる。地震研究所小原教授にご提供をいただいた、2001年12月に駿河湾で発生した何らかの大規模な振動現象だと解釈される陸上地震計で得た地震波の特徴をもとにして、DONETの微差圧計データに以下の特徴を探した。
○ スペクトルの5~6Hzに特徴的なピークを持つ波。
○ DONET観測点に明らかに近接する泥火山が存在する、DONET1のAノードおよびDノードに際立った特徴を持つ波。
○ 少なくとも10~20分継続する、第一波から立ち上がる矩形の波(紡錘形ではない)
DONETの微差圧計データに地震波形は多数みられるが、上述の条件を満たすシグナルは多くなく、例えば2017年1月中には2回にとどまる。2016年4月1日に発生した紀伊半島沖地震(マグニチュード6.1)は地下の性状を乱したことが考えられるので、前後2週間に上述の特徴を探したが、明らかな特徴は見つからなかった。これが地震波の巨大なシグナルに隠れているのか、地震に伴う泥火山活動がなかったのか、など、分野を超えての議論検討が必要である。