[SVC41-P16] 新潟焼山第3期噴出物の石基組織解析による噴出プロセスの検討
キーワード:新潟焼山、前山溶岩流、早川火砕流、斜長石マイクロライト、鉄チタン酸化物マイクロライト
新潟県西部,妙高火山群の北端に位置する新潟焼山火山は,約3000年前から溶岩流と火砕流を流出する噴火を繰り返してきた,火山群の中で最も新しい活火山である(例えば早津,1993;1994;2008).その噴火様式は,妙高火山群の他の火山と比べて非爆発的噴火で特徴づけられる.焼山活動史上最大規模であったとされる第3期活動では,前山溶岩流・早川火砕流が噴出し(早津,2008),マグマの成因が議論されている(小林・石崎,2014).本研究では,第三期噴出物を対象に,石基組織解析から噴火プロセスを復元することで,焼山火山の非爆発的活動の原因を探ることを試みた.
第三期噴出物は安山岩質溶岩とデイサイト質溶岩からなることが知られており,本研究では,安山岩質溶岩をAタイプ,デイサイト質溶岩をBタイプとした.各タイプの溶岩試料を採取し,斜長石と鉄チタン酸化物のマイクロライトの組織的解析を行った.結晶のサイズ・面積から,面積数密度・面積率(結晶度)を算出した結果,Aタイプの斜長石マイクロライトは比較的低い数密度,高い結晶度を示し,Bタイプは高い数密度,低い結晶度を示した.一方,Aタイプの鉄チタン酸化物マイクロライトはより高い数密度,Bタイプは低い数密度を示し,結晶度はBタイプの方が広い範囲の値を示した.鉄チタン酸化物を岩石磁気学的手法を用いて評価した結果,各Aタイプは高い帯磁率値を示すことが分かった.この結果は,Aタイプの鉄チタン酸化物の数密度が高いことと整合的である.また火口からの距離によって,Aタイプの斜長石・鉄チタン酸化物マイクロライトの数密度・結晶度の値が系統的に変化することが分かった.
面積数密度と結晶度は溶岩の過冷却度を反映していると考えられている(例えばHammer et al., 2000).Aタイプ溶岩の斜長石マイクロライトは低い過冷却度で,鉄チタン酸化物マイクロライトは高い過冷却度で結晶化したことが示唆される.一方,Bタイプ溶岩はAタイプと逆の結果を示した.一般的に鉄チタン酸化物は斜長石よりも低い温度下で結晶化するため,一連の噴火プロセスにおいては異なる火道深度での結晶化を反映していることが期待される.今回得られたデータからは,火道深度によって過冷却度が異なっていた可能性が示唆される.また,前山溶岩流と早川火砕流とで,石基組織解析結果は大きく異ならなかった.このことから早川火砕流は,早津(2008)が指摘したように,爆発的な噴火によるものではなく,火道内の未固結物質または溶岩ドームの崩壊により発生した可能性が,我々の結果からも示された.
第三期噴出物は安山岩質溶岩とデイサイト質溶岩からなることが知られており,本研究では,安山岩質溶岩をAタイプ,デイサイト質溶岩をBタイプとした.各タイプの溶岩試料を採取し,斜長石と鉄チタン酸化物のマイクロライトの組織的解析を行った.結晶のサイズ・面積から,面積数密度・面積率(結晶度)を算出した結果,Aタイプの斜長石マイクロライトは比較的低い数密度,高い結晶度を示し,Bタイプは高い数密度,低い結晶度を示した.一方,Aタイプの鉄チタン酸化物マイクロライトはより高い数密度,Bタイプは低い数密度を示し,結晶度はBタイプの方が広い範囲の値を示した.鉄チタン酸化物を岩石磁気学的手法を用いて評価した結果,各Aタイプは高い帯磁率値を示すことが分かった.この結果は,Aタイプの鉄チタン酸化物の数密度が高いことと整合的である.また火口からの距離によって,Aタイプの斜長石・鉄チタン酸化物マイクロライトの数密度・結晶度の値が系統的に変化することが分かった.
面積数密度と結晶度は溶岩の過冷却度を反映していると考えられている(例えばHammer et al., 2000).Aタイプ溶岩の斜長石マイクロライトは低い過冷却度で,鉄チタン酸化物マイクロライトは高い過冷却度で結晶化したことが示唆される.一方,Bタイプ溶岩はAタイプと逆の結果を示した.一般的に鉄チタン酸化物は斜長石よりも低い温度下で結晶化するため,一連の噴火プロセスにおいては異なる火道深度での結晶化を反映していることが期待される.今回得られたデータからは,火道深度によって過冷却度が異なっていた可能性が示唆される.また,前山溶岩流と早川火砕流とで,石基組織解析結果は大きく異ならなかった.このことから早川火砕流は,早津(2008)が指摘したように,爆発的な噴火によるものではなく,火道内の未固結物質または溶岩ドームの崩壊により発生した可能性が,我々の結果からも示された.