日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EE] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG22] GLP(全球陸域研究計画)と持続可能社会の構築

2018年5月20日(日) 09:00 〜 10:30 202 (幕張メッセ国際会議場 2F)

コンビーナ:氷見山 幸夫(北海道教育大学名誉教授)、春山 成子(三重大学大学院生物資源学研究科共生環境学専攻)、王 勤学(国立研究開発法人 国立環境研究所)、座長:氷見山 幸夫(北海道教育大学名誉教授)、Ernan Rustiadi(Bogor Agricultural University)

10:15 〜 10:30

[HCG22-06] 改革開放政策導入までの北京市における墓地の立地動向

*土居 晴洋1柴 彦威2徐 培瑋3 (1.大分大学教育学部、2.北京大学、3.北京師範大学)

キーワード:葬送、土地利用、近代化

葬送のあり方は,宗教や文化,制度などを背景として,国や地域によって異なる。特に多くの人口を抱える都市地域では,衛生上の課題に加えて,限られた土地資源の利用のあり方という視点から,葬送の問題が捉えられてきた。その結果,埋葬という形で一定の土地面積を使用する葬送のあり方は,当該地域の宗教や文化的な基盤の上にたった社会的な制度や習慣に従って,周辺農村地域を含んだ土地利用の地域構造を形作ってきた。

経済成長と人口増加が続く中国の都市地域では,1978年の改革開放政策導入以降,社会主義の原則を維持しつつも,市場経済の原則を取り込むことで,諸土地利用間の競合が生じている。改革開放政策導入以後の北京市では,経済成長と人口増加に伴って,郊外地域の風水上の適地などに大規模な墓地の開発が行われている(土居・柴,2017)。

本報告は,このような現代の中国の都市地域の葬送のあり方が定着する前の時期,つまり封建的制度が残存する20世紀前半から,新中国の成立によって社会主義的な政策が実施された1970年頃までの時期の北京市における葬送の変化を考察する。そのために本報告では,外邦図や文献資料,現地での聞き取り調査などをもとにして,北京市における葬送に関わる政策の変化や,墓地や葬送関連施設の立地とその変化,またそのような変化の中で葬送に関わった主体の動きなどを考察する。