日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EE] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG25] デルタとエスチュアリー:複雑な河口システムの理解を目指して

2018年5月21日(月) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:齋藤 文紀(島根大学エスチュアリー研究センター)、堀 和明(名古屋大学環境学研究科地理学講座)、Guan-Hong Lee(共同)、Qing He(State Key Laboratory of Estuarine and Coastal Research, East China Normal University)

[HCG25-P05] 西南日本および韓国沿岸の完新統中の貝と植物の放射性炭素年代値の差異

*中西 利典1ホン ワン2 (1.京都大学、2.韓国地質資源研究院)

キーワード:放射性炭素年代、海洋リザーバー効果、沿岸堆積物

2009年以降,西南日本および韓国沿岸における放射性炭素の海洋リザーバー効果を評価するための研究を進めてきた.この地域には核実験以前に生成された生成年代が判明している試料が少ないため,その検討が難しかった.そこで,既存のボーリングコア試料やジオスライサー試料,打撃式採土器によって採取した試料を用いて,大気起源の炭素から生成された植物片と海洋起源の貝の放射性炭素年代値を同じ層準で比較した.その結果,99層準で植物片と貝の年代値の差異を検討した.それら全体の平均値と標準偏差は360±180年であった.地理的な値の違いはそれほど顕著ではなかったが,九州地域の値が韓国よりも50年程度小さい値を示した.一方,同一地点において差異が徐々に増大したり減少する傾向が認められた.こうした変化は海水の影響が大きいほど差異が大きくなる傾向が認められるため,完新世における海水準変化の影響を反映していると考えられる.今後は差異が極端に違う層準において年代測定を追加して確認すると共に,調査地点を地質・地理的に広げたい.