16:30 〜 16:45
[HDS10-28] 水理実験データから得られた粒径と反射波による津波堆積物への影響に関する数値実験
キーワード:数値実験、水理実験、単一粒径砂、混合砂
2011年東北津波における想定の過小評価は,沿岸域に甚大な被害を招いたことから,津波想定の見直しが必要とされている.津波想定には,多くの古津波の情報を必要とする.しかし,現在の想定に使用されている歴史記録だけでは,発生頻度の低い巨大津波の情報は不十分である.そこでより多くの津波の履歴を記録しているとされる津波堆積物の分析が進められているが,現状としては定量的な規模の推定や,波源推定には至っていない.また,高橋ら(1999)では津波の土砂移動モデルが提案され,気仙沼において採取された1960年チリ津波のデータを用いて再現計算を実施している.しかし,このモデルでは,土砂の移動量の過小評価が課題として残されている.Yamamoto et al. (2016) では,これらの課題を解決するため,水理実験を用いて様々な条件による土砂移動の水理実験を実施している.実験では,外力の変化と粒径によって堆積砂量が異なることが確認できた.また,Yamamoto et al. (2017)では,これらの実験における基礎データをもとに高橋ら(1999)を用いたモデルの検証を行った結果を報告している.しかし,高橋ら(1999)のモデルによる検証でも,土砂の移動量が過小評価になることが明らかになった.また,この検証では単一粒径砂による検証にとどまり,混合砂における検証は実施されていない.
より精度の高い再現計算を実施するためには,各粒径における土砂移動を必要とするため,高橋ら(2011)ではこれまでの土砂移動モデルに使用されていた掃流砂の運動方程式と浮遊砂の交換砂量式の係数に着目し,水理実験の結果から粒径ごとに異なる式を提案している.しかし,このモデルを用いた他の粒径や混合砂,特殊な流況下における検証は行われていない.条件としてYamamoto et al. (2017)のデータをもとに,高橋ら(2011)で扱われていない粒径の砂および混合砂による検証と遮水壁を用いて津波を強制反射させる特殊な流況下による土砂移動の再現を試みた.その結果,土砂の総移動量は概ね一致することが確認できた.しかし,堆積位置が全体的に遡上先端付近に偏ること,土砂の堆積量が汀線付近で過小評価および遡上先端付近で過大評価となる課題が明らかになった.
より精度の高い再現計算を実施するためには,各粒径における土砂移動を必要とするため,高橋ら(2011)ではこれまでの土砂移動モデルに使用されていた掃流砂の運動方程式と浮遊砂の交換砂量式の係数に着目し,水理実験の結果から粒径ごとに異なる式を提案している.しかし,このモデルを用いた他の粒径や混合砂,特殊な流況下における検証は行われていない.条件としてYamamoto et al. (2017)のデータをもとに,高橋ら(2011)で扱われていない粒径の砂および混合砂による検証と遮水壁を用いて津波を強制反射させる特殊な流況下による土砂移動の再現を試みた.その結果,土砂の総移動量は概ね一致することが確認できた.しかし,堆積位置が全体的に遡上先端付近に偏ること,土砂の堆積量が汀線付近で過小評価および遡上先端付近で過大評価となる課題が明らかになった.