日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GG 地理学

[H-GG01] 自然資源・環境の利用・変化・管理:社会科学と地球科学の接点

2018年5月20日(日) 09:00 〜 10:30 102 (幕張メッセ国際会議場 1F)

コンビーナ:古市 剛久(北海道大学農学研究院)、佐々木 達(宮城教育大学)、上田 元(一橋大学・大学院社会学研究科、共同)、大月 義徳(東北大学大学院理学研究科地学専攻環境地理学講座)、座長:古市 剛久(北海道大学)、佐々木 達(宮城教育大学)

09:00 〜 09:15

[HGG01-01] 農地は誰のものか?―農地の所有と利用の一視点―

*佐々木 達1 (1.宮城教育大学)

キーワード:土地持ち非農家、耕作放棄地、農地、所有と利用

2015年の農林業センサスによれば,わが国の農家戸数は減少が続く一方で、数値上における販売農家と土地持ち非農家の逆転現象が確認された。土地持ち非農家は、農林業センサス上において総農家には含まれない。すなわち,土地持ち非農家は,農業を営んでいないにもかかわらず農地を所有している世帯といえる。日本農業における農地利用は後退的性格を強めていると言われ,その代表的な指標が耕作放棄地の拡大とみなされてきた。耕作放棄地は「以前耕作のあったもので,過去1年以上作物を栽培せず,しかも,ここ数年間に再び作付けする考えのない土地」と定義されている。土地持ち非農家の耕作放棄地面積は20万ヘクタールであり,我が国全体の耕作放棄地面積42ヘクタールのうちの約半分を占めるに至っていおり,農地利の利用と管理の持続性を考えるにあたっても無視できない存在となっている。わが国の農地制度では,農地は農家が所有するものと定められている。実際には耕作を続けることや耕作を放棄すること,あるいは農地を多用途に転換することはその所有者にゆだねられている。しかし,農業政策は食料供給能力を高めようとしており,農地として適切に利用しないことはその政策と矛盾している。本報告では,農地利用の特徴を諸指標から検討し,わが国の農地の所有と経営の分離について問題提起する。