[MIS10-P24] サンゴ骨格中のSr/Ca比とδ18Oを用いたジャワ海の表層海水温と塩分の復元
インドネシア多島海は太平洋とインド洋の間に位置し、この海域には海洋大循環で唯一熱帯域を通るインドネシア通過流(ITF)が流れている。この通過流は太平洋-インド洋間の熱・水収支や大気-海洋熱フラックスに影響を与えることからアジアモンスーンやエルニーニョ/南方振動(ENSO)と密接に関わっていると考えられている。また、北西モンスーンに、南シナ海やジャワ海からマカッサル海峡南端に運ばれる低密度・低塩分の水塊はマカッサル海峡内のITFの表層の輸送を妨げる。そのため、このような水塊の挙動は太平洋からインド洋への熱輸送を変化させ、モンスーンやインド洋ダイポールへの影響も示唆されている。しかしながら、インドネシア多島海は地形の複雑性から数十年にわたる長期間の実測記録の蓄積が少ないのが現状である。そこで本研究では、サンゴ骨格中のSr/Ca比とδ18Oを分析し、過去数十年にわたる表層海水温と塩分の復元を試みた。
本研究で用いたサンゴ骨格コア(Porites sp.)はジャワ海に位置するセリブ諸島から採取された。このサンゴの成長速度は約22 mm/年であり、本研究では1.6 mm間隔で分析を行ったため、時間分解能は約1ヶ月に相当する。
分析の結果、本研究では1931年から2002までの海水温と塩分を復元した。復元した海水温はバイモーダルな季節変動をもち、過去70年間に約0.7℃の温度上昇が確認された。また、エルニーニョや正のIODには、インドネシア多島海周辺では海水温に負のアノマリが見られたり、降水量が減少すると言われている。しかし、時系列解析の結果から、本研究では海水温と塩分ともに、ENSOやIODとの明瞭な関係が認められなかった。
本研究で用いたサンゴ骨格コア(Porites sp.)はジャワ海に位置するセリブ諸島から採取された。このサンゴの成長速度は約22 mm/年であり、本研究では1.6 mm間隔で分析を行ったため、時間分解能は約1ヶ月に相当する。
分析の結果、本研究では1931年から2002までの海水温と塩分を復元した。復元した海水温はバイモーダルな季節変動をもち、過去70年間に約0.7℃の温度上昇が確認された。また、エルニーニョや正のIODには、インドネシア多島海周辺では海水温に負のアノマリが見られたり、降水量が減少すると言われている。しかし、時系列解析の結果から、本研究では海水温と塩分ともに、ENSOやIODとの明瞭な関係が認められなかった。