11:15 〜 11:30
[MIS16-03] 南九州の火山における小型Xバンド偏波レーダーの展開と噴火観測事例
キーワード:火山、噴火、レーダー、Xバンド、地震波形、南九州
1.はじめに
近年頻発するゲリラ豪雨の予測や早期発見などを目的として,建物屋上や可搬コンテナを利用して小型Xバンド偏波レーダーが全国的に展開されてきている.国交省により現業Xバンド偏波レーダー(XRAIN)が最近全国展開され,桜島の噴火事例にて現業レーダーによる噴煙観測への有効性が実証されてきた(例えば,真木ら2015).さらに,レーダー反射因子と降灰量との関係式の導出が試みられている(真木ら2015).降灰量推定といった噴火の定量化ならびに,土石流などの二次火山災害の誘因としての降雨把握にレーダーは有用と言える.
そこで,京都大学防災研究所は平成27年度補正予算(施設整備費補助金)にて小型Xバンド偏波レーダーを火山近傍の6箇所に設置し,次世代火山研究推進事業(課題D-2)「リアルタイムの火山灰ハザード評価手法の開発」にて運用している.そして,2017年10月の霧島新燃岳噴火による噴煙と2017年11月から2018年1月の桜島南岳噴火による噴煙を観測することができた.
2.レーダー観測システム
古野電気(株)のXバンド偏波レーダーシステム(形式WR-2100)が霧島市立牧園中学校(対象:霧島火山),鹿児島県立錦江湾高校(桜島火山),火山活動研究センター(桜島火山),三島村竹島(薩摩硫黄島火山),口永良部島番屋ヶ峰避難所(口永良部島火山),諏訪之瀬島キャンプ場(諏訪之瀬島火山)に2017年8月に順次設置された.WR-2100のスペックは中心周波数9432.5MHz,空中線出力100W(各偏波,同時送信)である.空中線装置(レドーム)は直径1m,高さ1m程度であり,信号処理装置とデータ収録装置は高さ1m,幅0.64m,奥行き0.68mのラックに収納され,既存建物の屋上および小型コンテナ上面に設置された.WR-2100は通常HSQスキャンモードにて運用しているが,噴火した場合もしくは噴火切迫時に随時セクタRHIスキャンモードでの観測に切り替えている.WR-2100の生データの1日当りデータ量15~20GBであり,データは外付けHDD(4TB)に保存される.また,雨量換算データはCSVファイルに変換され光回線もしくは4G通信にて火山活動研究センターのサーバーに収集し,雨量分布の地図表示をWeb上にて行っている.
3.噴火観測事例と地震振幅との比較
2017年10月11日6時ごろから6年半ぶりに霧島山新燃岳が噴火をした.噴火の一報を受けて牧園中学校レーダーのスキャンモードをHSQからセクタRHIに変更した(15:13).10月12日11:40~13:00の時間帯で噴煙によるレーダー反射強度分布が確認できた.地震振幅の増大から10月15日に噴火のピークが推定されるが,悪天候のため可視映像から噴煙は確認できていない.レーダー反射強度からは雨雲と噴煙を見分けるのが困難であった.今後は偏波間レーダー反射因子差などのパラメーターについて検討をして雨雲と噴煙の分離を試みる予定である.桜島についても同様にレーダーによる噴煙検知を試みており,例えば2017年11月13日22:07と12月25日4:12の南岳噴火では火口直上にレーダー反射強度の明瞭な増加が確認された.
近年頻発するゲリラ豪雨の予測や早期発見などを目的として,建物屋上や可搬コンテナを利用して小型Xバンド偏波レーダーが全国的に展開されてきている.国交省により現業Xバンド偏波レーダー(XRAIN)が最近全国展開され,桜島の噴火事例にて現業レーダーによる噴煙観測への有効性が実証されてきた(例えば,真木ら2015).さらに,レーダー反射因子と降灰量との関係式の導出が試みられている(真木ら2015).降灰量推定といった噴火の定量化ならびに,土石流などの二次火山災害の誘因としての降雨把握にレーダーは有用と言える.
そこで,京都大学防災研究所は平成27年度補正予算(施設整備費補助金)にて小型Xバンド偏波レーダーを火山近傍の6箇所に設置し,次世代火山研究推進事業(課題D-2)「リアルタイムの火山灰ハザード評価手法の開発」にて運用している.そして,2017年10月の霧島新燃岳噴火による噴煙と2017年11月から2018年1月の桜島南岳噴火による噴煙を観測することができた.
2.レーダー観測システム
古野電気(株)のXバンド偏波レーダーシステム(形式WR-2100)が霧島市立牧園中学校(対象:霧島火山),鹿児島県立錦江湾高校(桜島火山),火山活動研究センター(桜島火山),三島村竹島(薩摩硫黄島火山),口永良部島番屋ヶ峰避難所(口永良部島火山),諏訪之瀬島キャンプ場(諏訪之瀬島火山)に2017年8月に順次設置された.WR-2100のスペックは中心周波数9432.5MHz,空中線出力100W(各偏波,同時送信)である.空中線装置(レドーム)は直径1m,高さ1m程度であり,信号処理装置とデータ収録装置は高さ1m,幅0.64m,奥行き0.68mのラックに収納され,既存建物の屋上および小型コンテナ上面に設置された.WR-2100は通常HSQスキャンモードにて運用しているが,噴火した場合もしくは噴火切迫時に随時セクタRHIスキャンモードでの観測に切り替えている.WR-2100の生データの1日当りデータ量15~20GBであり,データは外付けHDD(4TB)に保存される.また,雨量換算データはCSVファイルに変換され光回線もしくは4G通信にて火山活動研究センターのサーバーに収集し,雨量分布の地図表示をWeb上にて行っている.
3.噴火観測事例と地震振幅との比較
2017年10月11日6時ごろから6年半ぶりに霧島山新燃岳が噴火をした.噴火の一報を受けて牧園中学校レーダーのスキャンモードをHSQからセクタRHIに変更した(15:13).10月12日11:40~13:00の時間帯で噴煙によるレーダー反射強度分布が確認できた.地震振幅の増大から10月15日に噴火のピークが推定されるが,悪天候のため可視映像から噴煙は確認できていない.レーダー反射強度からは雨雲と噴煙を見分けるのが困難であった.今後は偏波間レーダー反射因子差などのパラメーターについて検討をして雨雲と噴煙の分離を試みる予定である.桜島についても同様にレーダーによる噴煙検知を試みており,例えば2017年11月13日22:07と12月25日4:12の南岳噴火では火口直上にレーダー反射強度の明瞭な増加が確認された.