日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT38] インフラサウンド及び関連波動が繋ぐ多圏融合地球物理学の新描像

2018年5月20日(日) 15:30 〜 17:00 A04 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:山本 真行(高知工科大学 システム工学群)、新井 伸夫(名古屋大学減災連携研究センター)、市原 美恵(東京大学地震研究所)、座長:市原 美恵(東京大学地震研究所)、山本 真行(高知工科大学)

15:50 〜 16:05

[MTT38-02] 複数センサーで探る火山噴火に伴う大気波動のダイナミクス: 2015年口永良部島火山噴火による電離圏擾乱

*中島 悠貴1西田 究2青木 陽介2日置 幸介1 (1.北海道大学大学院理学院自然史科学専攻地球惑星ダイナミクス講座、2.東京大学地震研究所)

キーワード:GPS、GNSS、TEC、火山噴火、超低周波音、広帯域地震計

地表で発生した~10mHzより低い周波数帯の大気波動は、高度約300kmの電離圏へと到達し、しばしば電離圏大気の擾乱として観測される。火山噴火による大気擾乱によっても、しばしば電離圏擾乱が励起され、観測されてきた。 我々はこれまで、火山噴火の経緯や地表観測の成果とGNSS-TEC (全地球衛星測位システム電離圏全電子数) 観測の結果とを比較し、火山噴火がどのような電離圏擾乱を励起したのか調べてきた。本発表では、2015年口永良部火山の事例を中心に報告し、論じる。 口永良部島火山は九州の約100km南方に位置する火山島にある火山である。口永良部島では2014年に引き続き、2015年5月以降、爆発的噴火が数回発生した。その中でも2015年5月29日0:59UTの噴火が電離圏擾乱を励起している。この擾乱はGEONETの1 Hzサンプリングのデータから得られるGNSS-TECの擾乱として確認した。 口永良部島火山噴火に伴うGNSS-TECの擾乱は、約10 mHzのN型波動と約5 mHzの15 分程度続く波動が火山を中心に伝播していた。一方で、地上に展開されている広帯域地震計や気圧計から、10 mHz程度の気圧変動が伝播する様子が確認されている。TECのN型波動は地表付近の気圧変動の伝播ととよく対応した。一方で、5 mHzの波動は地表付近の観測では確認できない。