日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT38] インフラサウンド及び関連波動が繋ぐ多圏融合地球物理学の新描像

2018年5月20日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:山本 真行(高知工科大学 システム工学群)、新井 伸夫(名古屋大学減災連携研究センター)、市原 美恵(東京大学地震研究所)

[MTT38-P04] マイクアレイ型インフラサウンドセンサの改良と評価

*藤本 将司1山本 真行1齊藤 大晶1斎藤 耕1 (1.高知工科大学 システム工学群)

キーワード:インフラサウンド、マイクアレイ

1.はじめに
インフラサウンドとは、人間の可聴周波数下限の20 Hzよりも低い帯域の超低周波音波である。火山の噴火や津波、雷といった大規模な自然現象によって発生し、空気の粘性による減衰を受けにくいため長距離伝播する特性を持つ。そのため自然現象のリモートセンシング技術として注目されている。インフラサウンド観測において観測点の多さは重要なポイントである。しかし高価なセンサを大量に設置することは現実的ではない。そこで当研究室では低コストインフラサウンドセンサの開発が行なわれてきた。これまでピエゾ素子や、半導体レーザーとPSD素子を用いたセンサが開発された。2016 年度にはコンデンサマイクを用いた低コストインフラサウンドセンサの基礎開発を行った。今回は以前のコンデンサマイク式センサの改良とそれを用いた観測を行い、本研究室での知見を基に株式会社サヤと共同開発したインフラサウンドセンサによる観測結果と比較し、評価を行う。

2.改良点
以前のセンサではA/D変換とPCの通信にArduinoを用い、サンプリング周波数40 Hz、分解能10 bitでデータ取得したが、今回マイコンをARM社のmbedに変えてサンプリング周波数200 Hz、分解能12 bitと大きく性能を上げた。また、データ取得を自動化し, 低コストな専用データロガーを備えることで、観測地に設置すれば観測が出来るようにした。

3.観測方法
改良したセンサが連続データの自動収集が可能かどうか試験的に数日間の観測を行う。これについては、高知県安芸郡芸西村にある芸西天文学習館の一室を借りて現在も観測中であるサヤ製インフラサウンドセンサとの並行観測を行う。また、2017年から現在まで観測されてきたデータについても紹介する。さらに、これまで進めてきたマイクアレイの配置パターンの変化による差異についても検討する。

4.まとめ
 以前のセンサから性能を上げることに成功し、計測可能な周波数帯域が可聴域の重低音域である100 Hzまで広がった。また現在、当研究室では高知県内を中心とした面的展開によるインフラサウンド観測が続けられている。本発表では、上述の観測地点の内の1か所に、今回の改良センサを試験設置し長期観測を行い、インフラサウンドセンサとしての評価を行った結果を報告する。