日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] ポスター発表

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[O-02] 高校生によるポスター発表

2018年5月20日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

[O02-P06] 東京湾の水で野菜を育てるために-添加物による海水の塩分除去-

小澤 栄美1、*小川 未優1、*小野寺 葉瑠1 (1.東京都立多摩科学技術高等学校)

現在世界では、水不足や人口爆発に伴う食糧不足などが問題となっている。私達は海水の塩分を除去することで農業に転用し、その問題を解決できないかと考えた。
実験方法を検討する中で、複雑な機械を使用しないことを考え、今回は何らかの添加物を海水に加えて撹拌するという方法を取った。
具体的には、海水に十分の一の質量の添加物を加え、室温で1時間200rpmで撹拌した後、吸引ろ過してろ液と添加物を分析した。今回この実験を同じ海水を使って添加物を新しくしながら3回繰り返して行った。
添加物としてモレキュラシーブス3A,4A,5A,13X、ハイドロタルサイト、火山灰を使用した(図8)。
ろ液をイオンクロマトグラフ質量分析装置で分析したところ、Naは全ての条件において大きな増減が無かったが、モレキュラシーブス4Aとハイドロタルサイトを使用した条件において液中のClの安定的な減少が見られた(図2,図5)。
また、添加物のEDSによる表面観察を行った結果、実験前と実験後ではClの増加が見られた。
この実験から、モレキュラシーブス4Aとハイドロタルサイトは海水中のClの除去に有用であることがわかった。
次に、モレキュラシーブスは文献調査から再利用ができることがわかっていたので、その検証を行った。
実験として、海水と一緒に撹拌したあとのモレキュラシーブス4Aを150度で1時間乾燥させ、その前後でCl及びNaの表面積の割合を分析した。
結果としては、どちらの元素の表面積も真新しいモレキュラシーブスと同程度まで減っており、この操作でモレキュラシーブスを再利用することができると考えられる(図7)。
今後は、Naを吸着する添加物を食品廃棄物や林地残材の炭などから検討すること、また、それと合わせて実験した海水でカイワレダイコンを育成することなどで研究を進めていきたい。