[O02-P14] ダウンドラフトの発生条件
キーワード:ダウンドラフト
○はじめに
ダウンドラフトとは煙突から排出される煙の吐出速度が周囲の風速よりも小さく、また、排煙温度が低い場合に、煙があまり上昇せず、煙突から排出される煙が風下にある建造物の後ろで生じる渦に巻き込まれて降下し、滞留を起こす現象である。これに伴って、大気中に拡散されるはずの濃汚染物質が建築物付に留まり環境汚染を進行させる。
防止策として吐出速度を高くする、煙突出口の形状を工夫する、煙突の高さを高くするなどの措置が有効とされているが、本研究では建造物の後ろで生じる渦に着目し、新しい視点からダウンドラフトの発生条件を求めた。
○実験方法
可視化風洞装置に建物に見立てた発泡スチロールを入れ、建物の位置を4cmごとに4か所、プロペラの位置を2cmごとに3か所と条件を変え、可視化された渦の大きさを測定する。測定は一条件につき5回行う。
[渦の測定方法]
(1)建物から可視化できたものまでの距離および(2)建物から降下したものまでの距離を測定する。【図1】
[実験1 建物の屋根の形を変える]
(1) 正方形【図2】
(2) 二等辺三角形【図3】
(3) 直角三角形【図4】
(4) 円形【図5】
[実験2 線香の位置をしぼる]
実験1の結果をもとに渦の発生が見られた条件下で線香の設置位置を絞って実験を行う。
(1) 屋根より低い【図6】および(2)屋根より高い【図7】という条件で実験を行う。
○実験結果
[実験1 建物の屋根の形を変える]
(1)正方形【表1】
1.プロペラの距離が短いほど降下しやすい
2.建物の距離が短いほど建物の近くを通りやすい
3.建物との距離と降下点は関係性がない
(2)二等辺三角形【表2】
4.二等辺三角形に屋根は正方形に比べて降下しやすい
5.降下点の値が正方形の実験結果に比べ小さい
(3)直角三角形【表3】
6.建物の距離が長くなるほど建物との距離が小さくなりやすい
7.降下が起こっているものの建物との距離の値が大きい
8.斜面を沿うようにして降下したものが見られた
(4)円形【表4】
9.降下がほとんど見られない
10.建物との距離が短い
[実験2 線香の位置をしぼる]
(1) 屋根より高い位置に設置した場合全ての実験で上昇した。
(2) 屋根より低い位置に設置した場合全ての実験で降下が見られた。
○考察
実験1 (1)正方形、(2)二等辺三角形、(3)直角三角形といった角をもつ屋根は渦のできやすさが似ている。一方(4)円形は三つと比べ渦の発生する傾向が大きく異なっており、渦の発生に屋根の形がかかわっているといえる。そして角をもたない屋根がダウンドラフトの発生を防ぐのに適していることがいえる。
角をもつ図形((1)~(3))は風力が大きいほど渦が発生しやすく、建物との高さと降下点の値に関係性はない。(3)直角三角形の降下点の値が大きいことから(1)~(3)の中で最もダウンドラフト対策に適している屋根の形状は直角三角形である。それに対し(2)二等辺三角形は降下点の値が小さいため対策には適さない。このことから、上向きの斜面は降下点を伸ばし、下向きの斜面は降下点を近くする。
実験(2)から屋根より低いところを通る空気がうずに巻き込まれやすい。
以上のことからダウンドラフトの発生条件および被害を促進させる条件は
1. 建物の屋根部分に角をもつ
2. 屋根部分に下向きの斜面をもつ
3. 建物付近の風力が大きい
である。
○参考文献
www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=1665
www.mirai-kougaku.jp/laboratory/pages/130109.php
ダウンドラフトとは煙突から排出される煙の吐出速度が周囲の風速よりも小さく、また、排煙温度が低い場合に、煙があまり上昇せず、煙突から排出される煙が風下にある建造物の後ろで生じる渦に巻き込まれて降下し、滞留を起こす現象である。これに伴って、大気中に拡散されるはずの濃汚染物質が建築物付に留まり環境汚染を進行させる。
防止策として吐出速度を高くする、煙突出口の形状を工夫する、煙突の高さを高くするなどの措置が有効とされているが、本研究では建造物の後ろで生じる渦に着目し、新しい視点からダウンドラフトの発生条件を求めた。
○実験方法
可視化風洞装置に建物に見立てた発泡スチロールを入れ、建物の位置を4cmごとに4か所、プロペラの位置を2cmごとに3か所と条件を変え、可視化された渦の大きさを測定する。測定は一条件につき5回行う。
[渦の測定方法]
(1)建物から可視化できたものまでの距離および(2)建物から降下したものまでの距離を測定する。【図1】
[実験1 建物の屋根の形を変える]
(1) 正方形【図2】
(2) 二等辺三角形【図3】
(3) 直角三角形【図4】
(4) 円形【図5】
[実験2 線香の位置をしぼる]
実験1の結果をもとに渦の発生が見られた条件下で線香の設置位置を絞って実験を行う。
(1) 屋根より低い【図6】および(2)屋根より高い【図7】という条件で実験を行う。
○実験結果
[実験1 建物の屋根の形を変える]
(1)正方形【表1】
1.プロペラの距離が短いほど降下しやすい
2.建物の距離が短いほど建物の近くを通りやすい
3.建物との距離と降下点は関係性がない
(2)二等辺三角形【表2】
4.二等辺三角形に屋根は正方形に比べて降下しやすい
5.降下点の値が正方形の実験結果に比べ小さい
(3)直角三角形【表3】
6.建物の距離が長くなるほど建物との距離が小さくなりやすい
7.降下が起こっているものの建物との距離の値が大きい
8.斜面を沿うようにして降下したものが見られた
(4)円形【表4】
9.降下がほとんど見られない
10.建物との距離が短い
[実験2 線香の位置をしぼる]
(1) 屋根より高い位置に設置した場合全ての実験で上昇した。
(2) 屋根より低い位置に設置した場合全ての実験で降下が見られた。
○考察
実験1 (1)正方形、(2)二等辺三角形、(3)直角三角形といった角をもつ屋根は渦のできやすさが似ている。一方(4)円形は三つと比べ渦の発生する傾向が大きく異なっており、渦の発生に屋根の形がかかわっているといえる。そして角をもたない屋根がダウンドラフトの発生を防ぐのに適していることがいえる。
角をもつ図形((1)~(3))は風力が大きいほど渦が発生しやすく、建物との高さと降下点の値に関係性はない。(3)直角三角形の降下点の値が大きいことから(1)~(3)の中で最もダウンドラフト対策に適している屋根の形状は直角三角形である。それに対し(2)二等辺三角形は降下点の値が小さいため対策には適さない。このことから、上向きの斜面は降下点を伸ばし、下向きの斜面は降下点を近くする。
実験(2)から屋根より低いところを通る空気がうずに巻き込まれやすい。
以上のことからダウンドラフトの発生条件および被害を促進させる条件は
1. 建物の屋根部分に角をもつ
2. 屋根部分に下向きの斜面をもつ
3. 建物付近の風力が大きい
である。
○参考文献
www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=1665
www.mirai-kougaku.jp/laboratory/pages/130109.php