[O02-P36] 回折格子を用いた流星の分光観測
キーワード:流星、分光観測、回折格子、流星群、校正、ナトリウム (Na)
本研究は,本校卒業生の鈴木湧平氏が,自身の撮影した流星の画像を見て,流星の発光途中で色が変化していることに疑問を持ったところから始まる。そこから発展し,流星の発光に由来する元素の特定,発光の時間変化における各波長の輝線の輝度変化の測定を目的に研究している。研究の手順として,まずデジタル一眼レフカメラと回折格子を用い,流星が縦に写るように角度を調節して連続撮影をする。流星の分光画像が撮影できたら,波長測定の基準を作るために校正作業を行う。そこで得た数値をもとに流星から分光した輝線の波長を求め,文献値と比較して発光に由来する元素を特定する。また,輝度測定の範囲を各輝線上に設定して,輝度変化の様子を複数の輝線で比較する。これまでの結果として,散在流星(2015)とおうし座北流星群(2017)でNaを,ペルセウス座流星群(2016)とふたご座流星群(2017)で複数の元素を特定した。特に,ふたご群ではオーロラで見られる酸素禁制線発光も確認できた。さらに,27例撮影したふたご群において,Naの欠乏と考えられる結果もあった。また,ペルセウス群の流星では,Naの輝度がMgの輝度よりも小さくなる部分があったり,輝度のピークが元素ごとに違っていたりした。