[O02-P76] 火炎構造の再現実験と立体復元図の作成
キーワード:火炎構造、地層、地震
火炎構造の再現実験と立体復元図の作成
3D Shape and Inner Texture of the experimentally-reproduced Flame Structure
小島 航、浦山 颯太
Wataru Kojima,Souta Urayama
埼玉県立春日部高等学校
Saitama Prefectural Kasukabe High School
1研究動機と目的
部活動の地質巡検で城ヶ島に行き、約1200~400万年前に堆積した新生代新第三紀の三崎層の火炎構造を観察した。野外では、火炎構造を断面でしか観察することができず、火炎構造の立体構造と内部の組織の詳細は分からなかった。火炎構造の全体の様子を明らかにして火炎構造がどのようにしてできるのかを研究することにした。
2先行研究
(1)城ヶ島の火炎構造の外形について
火炎構造は、白色火山灰層の上にスコリア質の凝灰岩が堆積した後、未固結のうちに地震動で、上の重い層が白色火山灰層に落ち込むことで火炎状になったと考えられている(2010 日本地質学会)。
(2)火炎構造の再現実験
水を張った水槽に、砂、火山灰、砂の互層をつくり、地震を想定した振動を与え、火炎構造を再現した(2008 岡本譲)。
3仮説
火炎構造の断面と層理面の白色火山灰の外形から、城ヶ島の火炎構造は白色火山灰が上のスコリア質の凝灰岩層に円錐状に噴き出したのではないかと考えた。
4研究(実験方法)
水を張った水槽に黒色火山灰と白色火山灰の互層をつくる。粒の粗い桜島の黒色火山灰と、滋賀県の古琵琶湖層群の第三紀鮮新世の粒の細かい蒲生塁層の白色火山灰を利用した。 地震の縦揺れを再現するため、水槽を台車の上に乗せ、凹凸の激しい道を等速直線運動で進む。 実験後、水を抜き乾燥させ、層理面に平行に3mmずつの厚さで削る。1回削ったごとに固定したカメラで水槽の上の面と水槽の側面の四面から写真を撮る。写真を方眼紙に書き写し、5mmマスごとの白色火山灰の位置を計測し、エクセルの3Dグラフで復元した。
5実験・観察結果
立体復元図より、白色火山灰が盛り上がっている部分が円柱状と円錐状のものが大小合わせて8個できた。水槽の中央にはできなかった。 白色火山灰の盛り上がった部分には白色火山灰層の粗い粒が、白色火山灰が薄く凹んでいる部分には細かい粒が密集していた。
6考察
振動が起きると白色火山灰層の水が上に移動する。水中では細かい粒よりも粗い粒の方が動きやすい性質(2016 「地学基礎」 改訂版)を持つため、白色火山灰層の粗い粒が水と一緒に上へと抜ける。それに伴い周囲の白色火山灰層の粗い粒も吸い寄せるように密集し盛り上がる。白色火山灰層の細かい粒は水流では動かず、その場にとどまり、白色火山灰層の粗い粒が移動した分薄くなる。その結果、上からの黒色火山灰層の重さで凹む。このようにして火炎構造ができたと考える。
7結論
火炎構造は振動を与えることでできた。つまり、実際の火炎構造も地震の震動によってできる。 立体復元図より、白色火山灰が上の黒色火山灰層に突き抜けたものは円柱状、突き抜けなかったものは円錐状になる。 白色火山灰層の粗い粒が移動して盛り上がり、火炎構造ができる。
キーワード:地層、地震 Keywords:Stratum,Earthquake
3D Shape and Inner Texture of the experimentally-reproduced Flame Structure
小島 航、浦山 颯太
Wataru Kojima,Souta Urayama
埼玉県立春日部高等学校
Saitama Prefectural Kasukabe High School
1研究動機と目的
部活動の地質巡検で城ヶ島に行き、約1200~400万年前に堆積した新生代新第三紀の三崎層の火炎構造を観察した。野外では、火炎構造を断面でしか観察することができず、火炎構造の立体構造と内部の組織の詳細は分からなかった。火炎構造の全体の様子を明らかにして火炎構造がどのようにしてできるのかを研究することにした。
2先行研究
(1)城ヶ島の火炎構造の外形について
火炎構造は、白色火山灰層の上にスコリア質の凝灰岩が堆積した後、未固結のうちに地震動で、上の重い層が白色火山灰層に落ち込むことで火炎状になったと考えられている(2010 日本地質学会)。
(2)火炎構造の再現実験
水を張った水槽に、砂、火山灰、砂の互層をつくり、地震を想定した振動を与え、火炎構造を再現した(2008 岡本譲)。
3仮説
火炎構造の断面と層理面の白色火山灰の外形から、城ヶ島の火炎構造は白色火山灰が上のスコリア質の凝灰岩層に円錐状に噴き出したのではないかと考えた。
4研究(実験方法)
水を張った水槽に黒色火山灰と白色火山灰の互層をつくる。粒の粗い桜島の黒色火山灰と、滋賀県の古琵琶湖層群の第三紀鮮新世の粒の細かい蒲生塁層の白色火山灰を利用した。 地震の縦揺れを再現するため、水槽を台車の上に乗せ、凹凸の激しい道を等速直線運動で進む。 実験後、水を抜き乾燥させ、層理面に平行に3mmずつの厚さで削る。1回削ったごとに固定したカメラで水槽の上の面と水槽の側面の四面から写真を撮る。写真を方眼紙に書き写し、5mmマスごとの白色火山灰の位置を計測し、エクセルの3Dグラフで復元した。
5実験・観察結果
立体復元図より、白色火山灰が盛り上がっている部分が円柱状と円錐状のものが大小合わせて8個できた。水槽の中央にはできなかった。 白色火山灰の盛り上がった部分には白色火山灰層の粗い粒が、白色火山灰が薄く凹んでいる部分には細かい粒が密集していた。
6考察
振動が起きると白色火山灰層の水が上に移動する。水中では細かい粒よりも粗い粒の方が動きやすい性質(2016 「地学基礎」 改訂版)を持つため、白色火山灰層の粗い粒が水と一緒に上へと抜ける。それに伴い周囲の白色火山灰層の粗い粒も吸い寄せるように密集し盛り上がる。白色火山灰層の細かい粒は水流では動かず、その場にとどまり、白色火山灰層の粗い粒が移動した分薄くなる。その結果、上からの黒色火山灰層の重さで凹む。このようにして火炎構造ができたと考える。
7結論
火炎構造は振動を与えることでできた。つまり、実際の火炎構造も地震の震動によってできる。 立体復元図より、白色火山灰が上の黒色火山灰層に突き抜けたものは円柱状、突き抜けなかったものは円錐状になる。 白色火山灰層の粗い粒が移動して盛り上がり、火炎構造ができる。
キーワード:地層、地震 Keywords:Stratum,Earthquake