[PCG23-P09] 木星型惑星を想定した雲対流の数値計算~凝結性成分が多いケース~
キーワード:惑星大気、雲対流、数値モデリング、雲解像モデル
木星型惑星の大気中では, 水素とヘリウムから成る分子量の小さい主成分の中で, H2O, NH3, CH4 など分子量の大きい成分の凝結を伴う雲対流が生じているが, その基本的特徴には未解決の問題が残っている. 具体的には, 凝結性成分が多い条件においてはその大きな分子量のために飽和気塊に働く浮力が負になり, 雲対流の発生が抑制される可能性が指摘されている (Guillot,1995) が, このような状況での対流の様相や鉛直熱輸送特性はよく理解できていない. 太陽系形成論から土星・天王星・海王星においては木星よりも多量の凝結性成分が存在し, その存在度は Guillot (1995) の対流抑制閾値以上であると考えられている. 雲解像モデルを用いた数値実験によってこの問題に取り組んだ唯一の例は中島ら (1998) である. しかし彼らは木星の温度圧力条件で凝結性成分として H2O のみを考慮しており、その混合比も閾値を大きく超えるものではない. そこで本研究では, 全ての木星型惑星の大気を想定した幅広い温度圧力条件で凝結性成分存在度に対する雲対流構造のパラメタ依存性を調べることを目的とする.
モデルは準圧縮系方程式 (Klemp and Wilhelmson, 1978) に基づく. 雲微物理過程は Nakajima et al. (2000) と同様に, 地球で良く利用されている単純な雲微物理パラメタリゼーション (Kessler, 1969) を用いて定式化した. 放射過程は陽に計算せず, 雲層上部に水平一様かつ時間変化しない熱強制を与える. 統計的平衡状態に至るまでの計算時間を短縮するため, 熱強制の値を木星大気における観測値より 2 桁大きい -1 k/day とする. 計算領域は水平方向に1024 km とする. 鉛直計算領域の大きさは, 木星・土星・天王星条件でそれぞれ 300, 600, 800 km とする. 解像度は水平方向と鉛直方向共に 2 km とする. 下部境界での凝結性成分気体の存在度は太陽組成の 1, 3, 10, 30 倍とする.
ポスターではそれぞれのケースにおいて H2O 持ち上げ凝結高度から対流圏界面まで発達する積雲の発生頻度を議論し, 数値計算で得られた熱収支を述べる.
モデルは準圧縮系方程式 (Klemp and Wilhelmson, 1978) に基づく. 雲微物理過程は Nakajima et al. (2000) と同様に, 地球で良く利用されている単純な雲微物理パラメタリゼーション (Kessler, 1969) を用いて定式化した. 放射過程は陽に計算せず, 雲層上部に水平一様かつ時間変化しない熱強制を与える. 統計的平衡状態に至るまでの計算時間を短縮するため, 熱強制の値を木星大気における観測値より 2 桁大きい -1 k/day とする. 計算領域は水平方向に1024 km とする. 鉛直計算領域の大きさは, 木星・土星・天王星条件でそれぞれ 300, 600, 800 km とする. 解像度は水平方向と鉛直方向共に 2 km とする. 下部境界での凝結性成分気体の存在度は太陽組成の 1, 3, 10, 30 倍とする.
ポスターではそれぞれのケースにおいて H2O 持ち上げ凝結高度から対流圏界面まで発達する積雲の発生頻度を議論し, 数値計算で得られた熱収支を述べる.