日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EE] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM16] Dynamics of Earth's Inner Magnetosphere and Initial Results from Arase

2018年5月22日(火) 09:00 〜 10:30 303 (幕張メッセ国際会議場 3F)

コンビーナ:Danny Summers(Memorial University of Newfoundland)、三好 由純(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、細川 敬祐(電気通信大学大学院情報理工学研究科、共同)、海老原 祐輔(京都大学生存圏研究所)、座長:Danny Summers

10:00 〜 10:15

[PEM16-23] あらせ衛星搭載低エネルギーイオン質量分析器(LEPi)におけるTOF(time of flight)型質量分析の較正

*長谷川 達也1浅村 和史2三好 由純3齋藤 義文2 (1.東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻、2.宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所、3.名古屋大学宇宙地球環境研究所)

キーワード:あらせ、低エネルギーイオン、飛行時間計測法、観測

あらせ衛星搭載観測器の1つであるLEPi(Low-Energy Particle experiments – Ion mass analyzer)は、0.01keV/q~25keV/qの範囲のエネルギーのイオンを測定するよう設計されたイオンエネルギー質量分析器である。現在、定常観測が行われており、得られたデータの較正が行われている。本研究では、LEPiの観測データに対し、質量分析についての較正を行った。
LEPiは静電型エネルギー分析に加え、飛行時間計測 (TOF: Time-Of-Flight)法を用いて質量弁別を行う。TOF法では、粒子が特定距離を飛行するまでにかかった時間を計測してその速さを計算する。この粒子の速さvは静電分析部で分析したエネルギー・電荷比E/qを用いて,E/q=1/2*m/q*v^2と表すことができる。ここで速さは飛行時間T_TOFと飛行距離Lから、v=L/T_TOFと計算することができるため、粒子の質量電荷比m/qの同定が可能となる。しかし、計測されるT_TOFには、粒子の超薄膜カーボン通過時のエネルギーロス、角度分散、荷電状態の変化、二次電子の飛行時間など、採用したTOF法を用いることによる原理的問題によるばらつきがあり、マイナーな粒子種などを抽出するためには詳細な較正が必要となる。
そこで本研究ではまずH+について、T_TOFに対するカウント数の関数を推定し、H+の分布を決定した。他の重イオンについても、順次分布を決定していくことができ、TOFを各粒子の分布の足し合わせで表現することができる。