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[PPS05-09] 二国間での月面衝突発光観測と将来月地震探査への応用
キーワード:月面衝突発光、地上観測、隕石衝突地震、月地震探査
地上望遠鏡からの月面観測により、小天体が月面に衝突した際の発光現象が検出されている(e.g. Suggs et al., 2008)。NASAのLunar Impact Flash Monitoringプログラムでは2006年以来、約10年以上継続的な月面衝突発光の観測を行い、約400個の衝突発光検出に成功した。Ortiz et al., (2006)やSuggs et al., (2014)では、このような衝突発光の強度や発光効率などを用いて、小天体の衝突頻度分布の推定を行ってきた。また、衝突発光から決まる小天体の月面への衝突位置は将来の月面地震探査においても有用となる。1969-77年に実施されたNASAのApolloミッションでは、4台の地震計から成る地震観測網を構築した。そして、Apolloの地震観測では約1700個の衝突起源の地震を観測し、その走時データは月の地殻構造を推定するのに使用されている。その一方、APPROACH等の将来月地震探査では、1-2本の少数観測点が想定されており、走時データのみから震源位置を決定するのは困難である。そこで、衝突位置で生じた発光を地上観測で捉えられれば、震源位置を独立に決定する事ができ、1点の走時データからも内部構造を推定する事が可能となる。
一方、これまでの衝突発光観測は単一点での観測が主であり、得られる成果には時間的・空間的な制約があった。また、地上観測は天候による影響を受けやすい。そこで、本研究では日本とフランス、経度の離れた二地点で同時に月面衝突発光を観測し、観測時間、観測範囲を拡張することを計画した。特に、衝突検出の確認、天候に対する冗長性を確保するため、各国で複数の観測点を用意した。我々はこれら各観測点で得られたデータを比較・統合することで、衝突発光の検出効率や小天体衝突頻度分布を刷新することを目指している。また、二国間での観測結果に基づき、将来の月地震探査で、衝突発光で震源決定する衝突地震イベントをいくつ検出できるか、そして、その地震イベントデータを用い、どの程度月の内部構造の決定精度を改善できるかについても評価する。
現在、日本側では、電気通信大学、日本大学、宇宙科学研究所、国立天文台水沢に観測点を構築し、毎月、衝突発光が観測可能な月相(三日月から半月の期間)での定常観測を、可視、近赤外、熱赤外の広い波長域で実施している。特に、2017年12月のふたご座流星群の観測では3観測点での同時発光検出に成功した。本発表では、現状の観測、データ解析結果について報告すると供に、得られた結果の将来の月地震観測への応用についても議論する予定である。
一方、これまでの衝突発光観測は単一点での観測が主であり、得られる成果には時間的・空間的な制約があった。また、地上観測は天候による影響を受けやすい。そこで、本研究では日本とフランス、経度の離れた二地点で同時に月面衝突発光を観測し、観測時間、観測範囲を拡張することを計画した。特に、衝突検出の確認、天候に対する冗長性を確保するため、各国で複数の観測点を用意した。我々はこれら各観測点で得られたデータを比較・統合することで、衝突発光の検出効率や小天体衝突頻度分布を刷新することを目指している。また、二国間での観測結果に基づき、将来の月地震探査で、衝突発光で震源決定する衝突地震イベントをいくつ検出できるか、そして、その地震イベントデータを用い、どの程度月の内部構造の決定精度を改善できるかについても評価する。
現在、日本側では、電気通信大学、日本大学、宇宙科学研究所、国立天文台水沢に観測点を構築し、毎月、衝突発光が観測可能な月相(三日月から半月の期間)での定常観測を、可視、近赤外、熱赤外の広い波長域で実施している。特に、2017年12月のふたご座流星群の観測では3観測点での同時発光検出に成功した。本発表では、現状の観測、データ解析結果について報告すると供に、得られた結果の将来の月地震観測への応用についても議論する予定である。