[PPS08-P09] 重力支配域における微惑星の破壊
キーワード:惑星、小天体、衝突
太陽の周りの公転している惑星や小天体は天体同士の衝突による合体及び破壊で形成されたため、衝突現象は太陽系形成において非常に重要な物理過程といえる。そのため、これまでに衝突過程は、様々な手法を用いて詳しく調べられてきた。その結果、衝突破壊は大まかにいえば、大規模破壊とクレータリングの二つに分類できることがわかった。前者は衝突によって生まれた破片質量が衝突前の標的天体の質量の半分以上ある場合で、後者は破片質量が標的天体質量よりも十分小さい場合である。このように衝突破壊は二つのタイプに分類できるが、分類の際に目安となる物理量が臨界衝突エネルギーQRD* (標的の質量が元の半分となる時のエネルギー)であり、標的が天体サイズの場合は、主に数値計算を用いて値が見積もられてきた。こうした先行研究によりQRD*の値は衝突条件(衝突速度、標的天体のサイズ、衝突角度)に依存するだけではなく、標的天体の物性(空隙率、摩擦)などにも影響されることが明らかにされた。しかしながら、これまでの計算結果の大半はSmoothed Particle Hydrodynamics (SPH)法によって得られたものである。最近の研究からSPH法による計算結果が計算時の解像度(SPH粒子の数)に依存することが明らかにされた(Genda et al. 2015, 2017)。そのため、先行研究の結果も計算解像度によって影響をうけている可能性がある。またいくつかの研究では格子法による衝突計算を行っているが、それは衝突直後の衝撃波の通過時のみであり、計算の大半はN体計算によって行われている。そのため、格子法による衝突破壊についての研究は十分に行われていないといえる。そこで本研究ではすでに多くの研究者に利用されている格子法の衝突シミュレーションコードiSALEを使って重力支配域における衝突破壊過程を調べる。計算法の違いでQRD*の値及びクレータリングでの衝突の様子がどれだけ異なるのかを明らかにする。また、得られた結果からQRD*についての半解析的な式を導く。