[SCG57-P31] Elastic wave velocity change caused lawsonite decomposition in blueschist at 1.0GPa and up to 550℃
キーワード:ローソン石、脱水、弾性波速度
沈み込みに伴う青色片岩の脱水反応はスラブにおける脱水脆性化や流体供給等に重要な役割を担っていると考えられている。地震波トモグラフィーの観点では、沈み込むスラブの高Vp/Vs領域は脱水流体の分布域として解釈される。しかし、青色片岩の脱水反応による弾性波速度への影響を評価する実験的研究は乏しい状況である。
本研究では青色片岩の主要構成鉱物の一つであるローソン石に着目し、ローソン石の脱水反応が青色片岩のVpおよびVsに与える影響を評価することを目的とし、高温高圧下における弾性波速度測定実験を行った。弾性波速度測定はピストンシリンダー型高圧発生装置(シリンダー内径は34mmおよび25.4[i1] mm)を用いて圧力1.0GPa下で最大550℃まで昇温させながら行った。タルク、パイロフィライト、BN、NaClを圧媒体とし、アルミナバッファーロッドを試料-振動素子間に設置した。温度はアルメル-クロメル熱電対をNaCl直上に設置し(サンプルの約2mm程上) 測定した。ニオブ酸リチウム圧電素子によりP波およびS波を同時発生させて、パルス反射法により速度を決定した。
350℃を超えてからVpおよびVsは著しく速度低下を起こした一方で、Vp/Vsはほぼ一定であった。実験後の試料のSEM観察[i2] および元素マッピングからローソン石の約11 vol.%が分解し、アノーサイトが生成していた。また、実験後の試料にはローソン石中およびアノーサイト近傍に多くのporeが観察されており、脱水流体がほぼ球形の流体包有物としてトラップされたと考えられる。ローソン石の分解温度を見積もるため、圧力1.0GPa下で500℃まで昇温した実験試料の観察を行ったところ、ローソン石の分解は確認できなかった。これらの観察結果から500-550℃に昇温した際に、次のローソン石の脱水反応が起こったと考えられる。
ローソン石[CaAl2Si2O8(2H2O)]→アノーサイト[CaAl2Si2O8]+ 2H2O
なお、ローソン石の脱水反応に伴い放出されたH2O量は全岩組成にして約0.26wt.% 見積もられた。
今回の実験ではローソン石の脱水反応に伴うVp/Vsの上昇は認められなかった。この原因は、脱水流体がほぼ球形の流体包有物としてトラップされたことによる可能性がある。
本研究では青色片岩の主要構成鉱物の一つであるローソン石に着目し、ローソン石の脱水反応が青色片岩のVpおよびVsに与える影響を評価することを目的とし、高温高圧下における弾性波速度測定実験を行った。弾性波速度測定はピストンシリンダー型高圧発生装置(シリンダー内径は34mmおよび25.4[i1] mm)を用いて圧力1.0GPa下で最大550℃まで昇温させながら行った。タルク、パイロフィライト、BN、NaClを圧媒体とし、アルミナバッファーロッドを試料-振動素子間に設置した。温度はアルメル-クロメル熱電対をNaCl直上に設置し(サンプルの約2mm程上) 測定した。ニオブ酸リチウム圧電素子によりP波およびS波を同時発生させて、パルス反射法により速度を決定した。
350℃を超えてからVpおよびVsは著しく速度低下を起こした一方で、Vp/Vsはほぼ一定であった。実験後の試料のSEM観察[i2] および元素マッピングからローソン石の約11 vol.%が分解し、アノーサイトが生成していた。また、実験後の試料にはローソン石中およびアノーサイト近傍に多くのporeが観察されており、脱水流体がほぼ球形の流体包有物としてトラップされたと考えられる。ローソン石の分解温度を見積もるため、圧力1.0GPa下で500℃まで昇温した実験試料の観察を行ったところ、ローソン石の分解は確認できなかった。これらの観察結果から500-550℃に昇温した際に、次のローソン石の脱水反応が起こったと考えられる。
ローソン石[CaAl2Si2O8(2H2O)]→アノーサイト[CaAl2Si2O8]+ 2H2O
なお、ローソン石の脱水反応に伴い放出されたH2O量は全岩組成にして約0.26wt.% 見積もられた。
今回の実験ではローソン石の脱水反応に伴うVp/Vsの上昇は認められなかった。この原因は、脱水流体がほぼ球形の流体包有物としてトラップされたことによる可能性がある。