14:30 〜 14:45
[SCG67-04] GNSSとGPS-Aデータから推定された南海トラフ沿いのプレート間カップリングと内陸変動
キーワード:プレート間カップリング、南海トラフ、GNSS、GPS-A
西南日本は,大陸プレートであるアムールプレートと海洋プレートであるフィリピン海プレートの間の沈み込み辺縁帯に位置する.近年の陸上におけるGNSSと海底におけるGPS音響測距結合方式による地殻変動観測は,この辺縁帯における地殻変動を明らかにした.本研究では,観測された変位速度をブロック断層モデルを用いてプレート間相対運動の分布とプレート間カップリングの両者を推定した.南海トラフと相模トラフが主要なプレート境界であるが,2つのプレートの相対運動の1/3が西南日本に位置する複数のブロック間相対運動によって賄われている.最も活動的な境界は,沖縄トラフから中央構造線を通り,新潟ー神戸ひずみ集中帯を通って西南日本を横断しており,相対運動速度が8mm/年以上となっている.概ね並行する境界が日本海の海岸線に沿って存在し,相対運動速度は4-5mm/年である.これらの2つの境界の右横ずれ運動により,プレート間相対運動の一部を賄っている.南海トラフ沿いのプレート間カップリングは,深さ10-25kmで大きいと推定されたが,東経132度,136度,137度付近では周囲よりも小さい.これらの領域は過去の巨大地震のセグメント境界に対応し,歪の蓄積が小さいことにより地震時の滑りのバリアーになっていたことが示唆される.